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概要

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まず、右下の質問A・Bに答えてみてください。「自然食品や天然の成分は安全。人工合成されたものは危険」と思い込んでいませんか?日本では、農薬、食品添加物、抗生物質などの使用は厳しく制限されています。たとえば、食品添加物が社会問題化したのは、40年以上も前の話。1960?1970年代、生協活動をはじめとした市民運動により危険な食品添加物は使用が禁止されました。その後、安全性の確認など国の体制が整い、「現在、問題のある食品添加物は使われていません。そもそも、食品添加物は、食品の製造に欠かせない側面があります。微生物の繁殖を抑え、保存性を高めているのも食品添加物です」。また、食品の研究が進む中で、2002年に発見された遺伝毒性発がん物質「アクリルアミド」は、アミノ酸と一部の糖類を含む食品を120℃以上で調理した時に発生します。野菜や菓子、パン、ご飯などさまざまな食品に含まれています。食品安全委員会によれば、主要な摂取源は、炒めたり揚げたりした野菜です。「名称に遺伝とついていますが、次世代京都大学大学院農学研究科修士課程修了。新聞記者を経てフリーの科学ジャーナリストに。食品の安全性や環境影響等を専門とし、執筆や講演活動に取り組む。科学的に解析した適切な食情報を収集し提供する消費者団体FoodCommunicationCompass代表松まつなが永和わき紀さん思い込み、古い情報に要注意に影響するわけではありません。大量に摂取する動物実験では発がん性が明白ですが、人体についての発がん性は、はっきりとはわかりません。摂取量を減らすべきですが、野菜は栄養成分たっぷりのよい食品なので、禁止にはできません。国は事業者に製法の変更を求めるなどしています」。フライドポテトやポテトチップスの揚げ色が以前より薄くなったと感じたことはありませんか?これも、アクリルアミドの抑制対策のひとつ。家庭の野菜調理でも、焦がしすぎには注意が必要です。そのほかにも、国際がん研究機関が昨秋発表した「加工肉の発がん性」は、たばこやアルコール、アスベストなどの人体への危険度と同レベルというわけではありません。世界の国々と比べて、肉類の摂取が比較的少ないのが日本。国立がん研究センターの調査によると、加工肉によるリスク上昇は見られませんでした。「食の安全を私なりに科学的にランク付けすると、もっとも健康を脅かしているのは過食や偏食などによる生活習慣病。次が食中毒、食べものによる窒息です。それらと比べると、食品が自然に含む毒性物質や発がん物質、残留農薬、食品添加物、遺伝子組み換えといった問題はリスクが低いのです。大切なのは、特定の食品に片寄らず、バランスのよい食生活を心がけることです」。科学の目で考える食の安全は、さまざまな最新の情報を総合的にとらえることで、食の安心にもつながっています。生協ならではの学習する機会を生かして、情報を確認し伝達することも、「安全・安心」のひとつではないでしょうか。世界と日本でリスクに差危ないのは偏った食生活発がん物質残留農薬食品添加物遺伝子組み換え05