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概要

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05外国に誇れる「日本国憲法」す。戦時中の日本は家、国家などの共同体を尊重し、個人を否定するものでした。国家に従い、多くの人々が犠牲になったことを受け、日本は「国家や天皇を大切にする国」から、国民一人ひとり、つまり「個人を大切にする国」になるため「日本国憲法」を作り、憲法13条の条文に「すべて国民は、個人として尊重される」という文言を盛り込んだのです。「集団的自衛権を容認して、国防軍を創設することにより、日米同盟を強化し、米国の期待に応えたい」「軍事力による国際貢献をしたい」改憲に向けた自民党の考えは、私にはこのように聞こえてなりません。もっと簡単に言うと、「個人の尊重」よりも、軍事的経済的に「強い国」づくりを目指し、富国強兵論を大々的に掲げていた戦前へと回帰しているのではないかと危惧しているのです。戦争は人をモノ扱いし、個人を国家のための「道具」にしてしまいます。これこそが戦争の本質であり、私たちは二度とあのような悲劇を繰り返さないために、憲法第9条と第13条を国に守らせる必要があるのです。この条文の考え方では、日本の自衛隊には交戦権がなく、海外で敵の殺傷ができない部隊であり、法的には通常の軍隊とはいえないものです。このような平和主義を掲げる日本国憲法が、いま「戦争ができる国」になるために改憲されようとしているのです。戦争は個人を「道具」にするいま、私たちにできること伊いとう藤真まことさん弁護士/伊藤塾塾長・法学館法律事務所所長・法学館憲法研究所所長1981年司法試験合格。その後、真の法律家の育成を目指し、司法試験の受験指導にあたる。「憲法を知ってしまったものの責任」から、日本国憲法の理念を伝える伝道師として、講演・執筆活動を精力的に行なう。憲法といまの日本を知った上で私たちにできることは、「想像力をはたらかせること」です。改憲によって、私たちの生活はどう変わるのか。戦争の悲惨さはどのようなものだったのか。改憲は本当に必要なのか。日本の、そして私たちの10年後、20年後への想像力をはたらかせること、そして、自分以外の人についても想像力をはたらかせることが大切です。多数派と少数派が入れ替わった時、つまり自分が少数派になった時に、自分自身を守るために憲法が必要なのです。一人ひとりの人間はみんな個性を持っていて、その個性を認めることこそが個人の尊重なのです。個人を尊重し、自己の幸福を追求するための権利が保障される、そんな国を作るために私たちは憲法を学び、政治に参画していく必要があります。憲法の主役は国民一人ひとり、つまりあなたのことなのです。誰もが政治や憲法に無関心でいられても、無関係ではいられません。社会をより良くするため、そして自分が幸せになるために、憲法は存在しているのです。日本国憲法の最大の特徴は、平和主義のなかに「戦争放棄」を謳っていることです。特に、前文第2項では、「全世界の国民の平和」について触れています。このような憲法は世界中のどの国にもありません。世界に誇るべき憲法なのです。また、第9条第2項に「交戦権を認めない」との記述があります。