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概要

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コラム・コープ安全のひみつ?「天然、自然だからいい」は本当?食の安全・安心をとりまく状況も、日々さまざまな新しい情報が生まれ、変化していきます。今必要な情報は何か。「秋の組合員学習会」の講演会で人気の科学ジャーナリスト、松永和紀さんによる最新の情報を、今回より1年間お届けします。天然の食品にもさまざまなリスクが天然、自然だから安全、体にやさしい……。食品や化粧品、石けんなどの説明で、よく聞くフレーズです。なんとなく納得している人も多いのではないでしょうか。でも、事実とは言えません。天然・自然に存在するものにも、フグの毒やキノコの毒など、場合によっては死に至らしめるものがたくさんあります。腸管出血性大腸菌による食中毒は、大腸菌が作る毒素により重い後遺症に見舞われたり、最悪の場合死亡することもありますが、牛の腸内から検出されることが多く、土壌など環境中でもしばしば見つかるものです。一方、人工的に合成されたものでも、人の生活に役立つものは数多くあります。石油は大昔の生き物が長い時を経て変化しできたものですが、石油や、石油から作られたプラスチックはずいぶんと嫌われていますね。結局、天然・自然か人工・合成かは、私たちが非常にあいまいに判断しているに過ぎず、どちらがいいか悪いかは一概には言えないのです。歴史的な経緯を考えると、第二次世界大戦後に急速に工業化社会になって、新しいさまざまな技術、農薬、添加物なども使われるようになりましたが、問題も多く発生しました。その結果、規制が強化され、農薬や添加物などは詳しく研究されて、現在では第三者の厳しい評価を経て、はじめて使用できるようになっています。そして、この20年ほど、同じように天然・自然のものも詳しく調べられるようになり、驚くべきことがいろいろと分かってきました。フグやキノコなどに限らず、普通の野菜や穀物などにも、天然・自然の毒性物質が微量ですが含まれているのです。発がん性をもつ天然物質も少なくありません。家庭での加熱調理で、発がん物質ができる場合があることも分かってきました。天然・自然に存在している微生物やカビなども、深刻な毒性を持つ種類が少なくないのです。天然・自然の食品であっても、リスクはゼロではなく、私たちは発がん物質等を含むいろいろな物質を食べながら暮らしていることが判明しました。信じられないことなのですが、本当です。国立医薬品食品衛生研究所の安全情報部長・畝山ちかこ食品の安全性についてのイメージ比較うねやま智香子さんが著書の中で、一般の人たちがイメージしている食品と、研究者のとらえている食品の違いを図にして紹介しています。実際の食品は、下の右図のような存在なのです。一般の人の食品の汚染についてのイメージ添加物や残留農薬(右と左は同じもの)食品リスク研究者の食品の汚染についてのイメージ出典:「健康食品」のことがよくわかる本(畝山智香子著、日本評論社)08コーポロ2017年4月号