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概要

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コラム・コープ安全のひみつ?食品添加物は避けるべき?食の安全・安心をとりまく状況も、日々さまざまな情報で変化していきます。今必要な情報は何か。科学ジャーナリスト松永和紀さんによる最新の情報を、コラム形式でお届けします。昔から化学物質が使われてきた食品の加工には、昔からさまざまな化学物質が用いられてきました。豆腐用のにがりは、海水から塩分を取り除いて煮詰めたものですが、主成分は塩化マグネシウムです。にがりは、今では食品添加物として販売されています。こんにゃく製造に用いられていた「あく」(木の灰の汁)は、アルカリ性物質が多く含まれており、こんにゃくを固めるために使われてきました。でも、木の灰は不純物が多く、発がん物質が含まれる場合もあるので、現在はこんにゃく製造にはたいてい、純度の高いアルカリ性物質の食品添加物が用いられています。このように私たちは、食品添加物に昔から関わってきたのです。ところが、食品添加物は嫌われもの。なぜでしょうか?私は1960年代?70年代の混乱期がプロフィール科学ジャーナリスト。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。食品の安全性や環境影響等を主な専門領域とまつながわきして、執筆や講演活動松永和紀さんなどを続けている。「メディア・バイアスあやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。2011年から、科学的に適切な食情報を収集し提供する消費者団体「Food Communication Compass(略称FOOCOM=フーコム)も運営している。原因ではないか、と考えています。昔は規制がなかったので、食品に水銀を防腐剤とろくしょうして利用したり緑青(銅のさび)を着色料として用いたりしていたそうです。1947年に食品衛生法が施行されて、食品添加物の規制も始まりました。もちろん、水銀や緑青は使用禁止。しかし、当初は審査が甘く、使用が始まったのちに発がん性などが明らかとなり禁止されたものもありました。たとえばチクロやズルチンなどの甘味料、豆腐の殺菌料のAF2などです。生協でも反対運動が展開されたので、覚えている方もいるのでは?こうしたことから、「添加物は体に悪い」という印象が強くなったと考えます。生協をはじめとする消費者ががんばったからこそ、添加物の審査は厳しくなり、高度な安全性が確保されるようになりました。厳しい安全性評価が必要現在の審査では、右表のような試験で問題がないことが確認されなければなりません。主に動物を用いた試験ですが、動物と人では代謝のメカニズムが一部異なりますので、それを補うために、よく似た化学構造を持つ医薬品や天然物質などの人への影響を調べた研究結果なども考慮されます。日本では、内閣府食品安全委員会が詳細な検討を行ない、問題ないと判断した添加物だけが使用を認められます。そして厚生労働省が、添加物ごとに使い方や使用量、残留する場合の規格基準等を決め、事業者はそれらを守って使用しなければなりません。「でも、わざわざ食べたくはないのよ」。その気持ちもよく分かりますが、たとえばハムやソーセージに使われる亜硝酸塩。肉の色をよくし臭みを消したり、ボツリヌ08コーポロ2017年7月号