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概要

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コラム・コープ安全のひみつ?怖い腸管出血性大腸菌O157、どのようにして防ぐ?食の安全・安心をとりまく状況も、日々さまざまな情報で変化していきます。今必要な情報は何か。科学ジャーナリスト松永和紀さんによる最新の情報を、コラム形式でお届けします。この夏、腸管出血性大腸菌O157の感染が多発しました。埼玉県の惣菜店のポテトサラダが疑われる事件が起き、同じ企業が経営する群馬県の惣菜店から、加熱した惣菜を買った人たちも発症し、3歳の子どもが亡くなりました。原因がわからない感染者も大勢出ています。菌の遺伝子型の分析により、おおもとの感染源は一つで、広がった可能性があることが分かりました。子どもや高齢者は重症化しやすい腸管出血性大腸菌は、口から体に入って感染します。微生物感染による健康被害の大きさは、次の3つで決まります。健康被害の大きさ=「病原体の特性」×「体に入る量」×「感染した人の体調・特性」腸管出血性大腸菌は、口から体に入ると消化酵素や胃酸をかいくぐり人の腸に到達して、そこで増え強プロフィール科学ジャーナリスト。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。食品の安全性や環境影響等を主な専門領域とまつながわきして、執筆や講演活動松永和紀さんなどを続けている。「メディア・バイアスあやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。新刊は「効かない健康食品危ない自然・天然」(光文社新書)い毒素を出します。菌を数個食べるだけでも、発症する可能性を否定できないとみられています。腹痛や血便などに見舞われ、重症化すると溶血性尿毒症症候群( H U S )や脳症となり亡くなることもあります。とくに、子どもや高齢者などが重症化しやすいのです。原因としてまず挙げられるのは牛の肉や内臓。牛の1?2割は腸内に腸管出血性大腸菌を持っており、牛は無症状です。食肉処理時にその菌が肉や内臓に付いてしまうことがあり、2011年にはユッケにより5人が亡くなりました。菌は75℃で1分以上加熱すると死にます。牛肉や内臓は加熱して食べましょう。野菜も要注意です。畑では牛糞から作られた堆肥も使われますが、堆肥を作るときに殺菌しきれず、土壌中に腸管出血性大腸菌が入って増え、野菜に付いてしまう場合もあるとされています。2012年に北海道で白菜の浅漬けにより腸管出血性大腸菌の食中毒事件が起き、8人が亡くなりました。2016年には、東京と千葉の高齢者施設で、給食に出された「きゅうりのゆかり和え」が原因と見られる食中毒が起き、10人が亡くなっています。生野菜を食べる場合には、しっかりと流水で洗い菌を除去して食べましょう。加熱済みの惣菜が原因となったケースは、加熱不足で食材にもともといた菌が死なずに増殖してしまったり、加熱後に菌が付いてしまって増えたりと、さまざまなケースが考えられます。人から人へうつる場合も健康な成人の中には、感染していても症状は出ず、でも、菌を便として排出している「不顕性感染」という状態にある人がいます。トイレの後などに手洗い08コーポロ2017年11月号