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コラム・コープ安全のひみつ気になる輸入食品?中国産だけが悪者?食の安全・安心をとりまく状況も、日々さまざまな情報で変化していきます。今必要な情報は何か。科学ジャーナリスト松永和紀さんによる最新の情報を、コラム形式でお届けします。日本の食料自給率は2016年、供給熱量ベースで38%にまで落ち込みました。日本の国土は狭く、使われていない農地をフル活用したとしても、国内生産だけでは食料が足りません。諸外国に助けてもらい輸入せざるを得ないのです。輸入する際、輸入食品用の基準はなく、国産品と同じ基準が適用されます。ところが残念なことに、輸入食品についていたずらに不安を煽る間違った情報が氾濫しています。中国産の違反率は高くない厚生労働省によれば、2016年度の輸入食品は重量で3230万トン、届出件数は234万件です。件数が多い順に1位中国(全体の32%)、2位アメリカ(10%)、3位フランス(8.9%)でした。中国からは水産物や野菜など多品目が、アメリカからはトウモロコシや大豆など主に穀物が大量に入ってきています。検査は、全体の8.4%にあたる19万6000件を対象プロフィール科学ジャーナリスト。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。食品の安全性や環境影響等を主な専門領域とまつながわきして、執筆や講演活動松永和紀さんなどを続けている。「メディア・バイアスあやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。新刊は「効かない健康食品危ない自然・天然」(光文社新書)に実施され、773件で違反が見つかりました。違反が多い順に1位中国(1 8 1件)、2位アメリカ(9 0件)、3位ベトナム(70件)です。発生件数だけで見ると中国の件数が多く、一番悪いように見えますが、輸入件数あたりの違反率で比べると、中国は0.024%、全体平均は0.033%で、中国はむしろ低いのが実情です。十数年前、中国から日本への輸入が急増した時期、中国の安全衛生管理には問題があり違反も続出しました。そこで、国家質量監督検験検疫総局という政府機関が監視や指導を行ない、輸出は企業ごとの許可制に。時々、「中国の食品が危ない」と週刊誌で報じられますが、それはたいてい、中国の国内向けの話。輸出用については、中国の国内向けとは異なる基準を運用して生産しています。日本の厚生労働省の検査で違反を出してしまった中国企業は、中国政府から輸出を禁じられます。日本の食品メーカーや商社なども、社員を常駐させるなどして、栽培や食品加工を熱心に指導しています。その結果、中国の日本向け食品のレベルは向上しているのです。輸入食品の監視は3段階で日本の輸入食品に対する規制は3段階で行なわれています。(1)輸出国で生産や加工が行なわれる時に、日本の規制をクリアできる食品にし、そのことを輸出国や事業者などがチェックする(2)日本へ入る時に、厚生労働省が輸入港で書類を確認し検査を行ない、問題がないか確認する08コーポロ2017年12月号