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概要

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コラム・コープ安全のひみつ?国の言うことは信頼できない?食の安全・安心をとりまく状況も、日々さまざまな情報で変化していきます。今必要な情報は何か。科学ジャーナリスト松永和紀さんによる最新の情報を、コラム形式でお届けします。1年間にわたって、食の安全についてさまざまな角度から解説してきました。日本では高い安全性が守られ、それが長寿や乳幼児の死亡率の少なさなどにもつながっています。しかし、大きな問題は国への不信感。東日本大震災後の原発事故などもあり、多くの人がわだかまりを抱えているのではないでしょうか。私は、日本の食品安全行政は細かい問題を抱えているとは受けとめていますが、信頼したいと考えています。その2つの理由を説明しましょう。BSE問題を契機にリスクアナリシス導入一つめは「リスクアナリシス」の導入です。2001年、BSE(牛海綿状脳症)の感染牛が日本で見つかりました。それ以前に、EUなどから日本でもBSEが発生する可能性があることが指摘されていたにも関わらず、プロフィール科学ジャーナリスト。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。食品の安全性や環境影響等を主な専門領域とまつながわきして、執筆や講演活動松永和紀さんなどを続けている。「メディア・バイアスあやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。新刊は「効かない健康食品危ない自然・天然」(光文社新書)農林水産省が無視し、十分な対策を講じず情報を公開していなかったことが判明しました。そのため、批判が高まり、2003年に食品安全基本法が施行されリスクアナリシスのしくみが導入されました。人の健康へ悪影響が起きる可能性とその程度を表す「リスク」という概念に基づき、リスクの評価と管理、コミュニケーションを行ないます。BSE問題では、どの程度の悪影響が出そうかを検討する「リスク評価」を農林水産省が行なっていたため、「そのようなことが起きては困る」という意識が先立ち、隠蔽に結びついたのではないか、と指摘されました。その結果、リスク評価を内閣府食品安全委員会に所属する科学者が行ない、それを受けて農林水産省や厚生労働省、消費者庁などがリスク管理を行なうように分けられました。情報を公開し国民とのコミュニケーションも図られることになりました。今では、食品安全委員会や農林水産省、厚生労働省などの審議会は原則として公開で行なわれています。食の安全にかかわる検査や調査結果の多くも開示され、以前のような「都合の悪いことは隠す」ということがとても難しくなっています。各国が情報を公開し市民のチェックが容易にもう一つは、食の安全の国際化です。世界中で、食品が広域流通するようになり、さまざまな国でリスクに基づく管理が行なわれ情報が公開されるようになりました。私は他国の動向に常に気を配り、日本で問題が起きるとすぐに、米国の食品医薬品局(FDA)や欧州食品安10コーポロ2018年3月号