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概要

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組合員学習会報告その3世界の子供たちと向き合って生協は平和で豊かなくらしを願ってつくられました。現代における真の「豊かさ」と「貧困」とは何か。世界中の貧困や災害を取材するフォトジャーナリストの安田さんに、貧困の対極にある豊かさについて教えていただきました。やすだ講師:安なつき田菜津紀さんフォトジャーナリスト。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、カンボジアを中心に、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で貧困や災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。他にもテレビやラジオのコメンテーターとしても幅広く活躍中。私たちの身近にある「貧困」皆さんは貧困とは何だと思いますか?食料や水がない状況のことでしょうか。私は、「機会の欠如」だと考えます。勉強や仕事をする機会がない、自分らしく生きる機会が奪われる…そう考えたとき、貧困は決して遠い国の話ではないことに気が付きます。私たちに必要なのは想像です。世界や日本で起こったことについて「もし自分だったら」と想いを馳せ、想像を広げていきましょう。自分が辛くても誰かを想える強さ私が初めてカンボジアを訪れたのは16歳の時です。そこで出会ったのは人身売買の被害にあった子どもたちでした。カンボジアは内戦の終結後に貧困層が農村部に集中し、経済的な理由で親が子どもを売ることも珍しくありませんでした。値札を付けられ、売り買いされた子どもたち。1日中物売りや物乞いをさせられ、稼ぎが悪いとひどい暴力を受けたといいます。そんな状態から保護され、援助施設で暮らす彼らは「自分には今、暮らす家も食べ物もある。でも、残された家族はきっと困っている。家族を支えるために早く仕事に就いて収入を得たい」と、自分以外の誰かを想える強さを持っていました。私は強くて優しい彼らから、人として大切なことを教わりました。分けていただいた言葉や経験を世界中に伝えることで、彼らに恩返ししたいと考えています。近年は政府の対応も積極的になり、カンボジアの人身売買問題は少しずつ改善に向かっています。戦争に機会を奪われた子どもたち一方で、日が経つごとに希望から遠のいている国もあります。2009年ごろ、私はシリアに通い詰めていました。当時は美しく人々も温かな国でした。シリア人は非常におせっかいで気遣い上手、人間関係こそが彼らの「豊かさ」の根源でした。その豊かさは6年8カ月の戦争により、粉々08コーポロ2018年3月号