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概要

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?食の安全・安心に関する最新の情報を、科学ジャーナリストの松永和紀さんに分かりやすく解説していただきます。?Q.練りものに添加されるリン、大丈夫?A.リンより塩分摂取に注意をかまぼこ、魚そうめん、しんじょう…。京都には、美しくおいしい練りものがありますね。ところが近年、練りものは食品添加物としてリン酸塩が多く使われ、骨密度の低下、骨粗鬆症につながる、と問題視する人が出てきました。この説、本当でしょうか?リン酸塩でよりプリプリ食感に練りものは昔、漁港で水揚げされたさまざまな種類の魚から作られていました。品質は安定せず、製造は大変な苦労でした。約50年前、北洋で大量に獲れる魚を船上ですぐに加工して冷凍すり身にする技術が開発され、一定品質の練りものの安価な生産が可能となりました。加工時に糖類とリン酸塩を入れると、すり身の保水性が高まりプリプリとした弾力が出ます。リン酸塩は加熱によってリンとそれ以外の元素に分解され、リンは魚の身自体にも多く含まれるため、添加したリンと区別できません。そのため、添加物としてリン酸塩を使っても表示しなくてよいというルールになりました。現在はリン酸塩が使われていない冷凍すり身もありますが、特注品で高価。そうした原材料を用い、昔ながらの製法を追求する練りものメーカーは「無リン」と表示してアピールします。とはいえ、リンは自然にも含まれる物質なので、安全上の違いはありません。東大調査で、リン摂取量が明らかにただし、リンの過剰摂取がカルシウムの吸収を抑制するのは事実です。厚生労働省は食事摂取基準2015年版で、1日のリン摂取目安量を男性1000mg、女性800mgと定め、これ以上は食べない方がよいという上限量を3000mgとしています。リンは練りものだけでなく魚、肉、豆腐、野菜な08コーポロ2018年11月号