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概要

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?科学的な視点から、食の安全・安心について学ぶコラムです。今月のテーマもしタマネギが食品添加物だったら…畝山さんに聞く!食品そのものの安全性は確かめられていない前回、食品添加物や残留農薬は安全性を確認してから使っているというお話をしました。ところが食品そのものには安全性試験は行なわれていません。今まで食べてきた(食経験)という理由で安全確認は必要ない、とみなされています。しかし、もし普通の食品の安全性を食品添加物と同じ方法で確認したらどうなるでしょうか?例えばネギ類やニンニクは人間が食べても平気ですが、動物に与えると病気になってしまいます。タマネギをすりつぶして毎日ネズミに与えるという実験をした人たちがいて、論文として発表されています。その結果、体重1kgあたりタマネギを500mg毎日与えると肝臓に悪影響が出ることが分かりました。50mgでは影響が出ませんでした。この結果から、動物での無影響量は50mg/kg/日と言えます。食品添加物の場合、動物実験で無影響量を決めたらそれを安全係数100で割って許容一日摂取量(ADI)を決めます。100という数字は動物実験を人間にあてはめる場合の係数である10と、赤ちゃんからお年寄りまでの人間の個人による違いを考えた10をかけあわせたものです。タマネギも同じように計算すると、ADIは0.5mg/kg/日です。つまり体重が50kgの人だったら、1日に食べられるタマネギの量は50kg×0.5mg/kg/日=25mgとなります。ほとんど食べられない量です。もちろんタマネギは食品添加物ではありませんので、そのような「基準」はありませんし、人間が問題なく食べてきたので特に危険ではありません。食品とみなされるか食品添加物に分類されるかで要求される安全性の水準は大きく違うという例です(ここでタマネギはよく知っているものだから、と思った人は連載第1回に戻ってください)。食品の安全性と「食糧安全保障」安全性についてはとにかく厳しく、予防的に管理すべきだ、動物や昆虫に害があるものは人間にだって害がある可能性がある、という意見を聞いてその通りだと思ったことはありませんか?一見もっともらしく聞こえるかもしれませんが、現実にあてはめてみると食べられるものがなくなってしまう、という結果になるのです。食品添加物や残留農薬は食品全体のなかで占める割合は非常に少なく、意図的に使われるという例外的なものなので厳しい要求ができますが、食品そのものはそういうわけにはいきません。食品の安全は確かに大切ですが、人間が生きるために必要な食料を確保する、食糧安全保障も同じく大切です。安全性を確保しつつ、食べられるものがなくならないようにバランスをとる必要があるのです。教えてくれるのは…うねやま畝山ち智か香こ子さん国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長東北大学薬学部卒、薬学博士。生化学、薬理学を専攻して食品や医薬品の安全性研究に従事し、2003年以降食品中の化学物質の安全性に関する情報収集と提供を主に行なってきた。主な著書は、「ほんとうの『食の安全』を考える-ゼロリスクという幻想」(化学同人)「『健康食品』のことがよくわかる本」(日本評論社)など。08コーポロ2019年6月号