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概要

bookcopolo2005

教えて!森田さん?食の安全・安心情報を科学的視点で、皆さんに分かりやすくお伝えするコラムです。今月のテーマ怖いのは食品添加物、農薬だけ?「天然」が良いとは限らない食品のパッケージなどに、「合成保存料不使用」などと書かれているものを見かけます。「化学」「合成」は悪いイメージ、「天然」「自然」は良いイメージがあるようですが、実際はどうでしょうか。天然の食品にもリスクはある食品の安全性は科学的に考えると、有害な物質(=ハザード)の含まれる「量」によってリスクが決まります。ハザードは食中毒の原因微生物やカビ毒など生物学的なもの、食品添加物やメチル水銀のように化学的なもの、異物混入などの物理的なものなど、さまざまな要因があります。ハザードには、「合成」や「天然」の区別はありません。例えば天然の穀物や海藻などには、環境中から無機ヒ素やカドミウムが含まれることもあり、極端な過剰摂取に注意が必要な場合もあります。化学合成品だけが危険、ということではないのです。食品添加物、農薬は安全なものだけが使われるており、そのリスクはきちんと評価されているわけではありません。天然物を濃縮した健康食品の中には、健康被害が問題になったものもあります。「天然=安全」で「添加物や農薬など=危険」と思われてしまうのは、食品安全の仕組みが伝わっていないというもどかしさも感じます。「人工」「合成」の言葉が消費者を誤解させる食品添加物が危険というイメージは、パッケージの表示に問題があるのかも知れません。例えば「合成保存料不使用」などとあると、やはり保存料は避けた方が良いと思われがちです。消費者庁が2019年度に開催した「食品添加物表示制度に関する検討会」の報告書では、「無添加」「不使用」「人工」「合成」などの強調表示が消費者の誤認を招いていると指摘しています。「無添加」を気にするよりも、まずはハザードとリスクの考え方を知り、天然、合成の区別なくさまざまな食品をバランスよくとること。それがリスクを減らす早道と言えそうです。ところで、食品添加物や農薬が怖いというイメージは、いつ頃生まれたのでしょうか。日本では、戦後から1960年代にかけて添加物や農薬の化学合成品が多く使われるようになり、急性中毒がいくつか発生しました。その後、安全性の試験や長年の使用経験から、国が認めたものだけ使える許可制度が厳しくなり、健康被害は報告されていません。そもそも発がん性のあるものは使用が認められておらず、2003年に食品安全委員会ができてからリスク評価がさらに進みました。一方、天然の食品はさまざまな成分で構成され執筆者PROFILE消費生活コンサルタントもりた森まき田満樹(一社)Food Communication Compass代表。東京海洋大学非常勤講師。食品安全、食品表示、消費者問題について講演や執筆活動を行っており、消費者庁や厚生労働省の検討会の委員も務める。著書は『新しい食品表示がわかる本(女子栄養大学出版部)』『食品表示法ガイドブック(ぎょうせい)』など。08コーポロ2020年5月号