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概要

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教えて!森田さん?食の安全・安心情報を科学的視点で、皆さんに分かりやすくお伝えするコラムです。今月のテーマ安全で健やかな食生活のために気をつけたいポイント―リスク軽減の観点、健康を守る観点からのアドバイスー食の安全について、これまで消費者が不安に思う項目を中心に紹介してきました。今回は安全で健やかな食生活を送るために、どのような点に気をつけたら良いか、リスクの観点から考えます。最も身近なリスク、食中毒を防ぐためにまずは、専門家が最も気をつけるべきとする「食中毒」。厚生労働省の食中毒統計では毎年数万人の患者数が報告されており、医師の診断・報告を経ない事例はその100倍近くあると言われています。食中毒は外食だけでなく、家庭でも多く発生しています。予防のためには、食品を購入してから調理して食べるまでに、細菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」という3原則を守ることが重要です(参照1)。例えば生肉や生魚を調理する包丁・まな板などの器具は専用のものを使う、器具や食材・手をよく洗う、肉は中心部まで加熱するなど、細やかな注意が求められます。また、テイクアウトの食品は持ち歩き時間を短くし、早めに食べるようにしましょう。また、天然毒素を持つ食品で食中毒を起こすこともあります。ジャガイモの芽、ニラと間違いやすいスイセン、フグ、キノコなどの動植物による健康被害が毎年報告されています。これらは知識があれば防げます(参照2)。健康食品で健康被害が起こることも多くの方が利用している健康食品にも注意が必要です。使い方によっては健康被害が起きたり、医薬品との相乗作用が起こることがあります。国民生活センターによれば、全国から寄せられた健康被害は2019年で4,000件近くあり、発疹などの皮膚障害、下痢などの消化器のさまざまな症状が報告されています。健康食品の中には品質の悪いものや、有効性や安全性について科学的根拠が明らかでないものも販売されています。安全性が高いと思われているビタミンAなども、過剰摂取により健康被害が起こることがあります。また、医薬品との相乗作用では、薬が効かなくなったり、効果が必要以上に増強したりすることもあります。そもそも健康食品は健康な方が健康保持を期待して摂取するものであり、病気の方のためのものではありません。摂取する場合は医師に相談するなど、十分注意するようにしましょう(参照3)。食情報に関心を―知識が身を守る食の安全や健康に関する情報は、時代とともに次々と更新されています。科学技術の発展で、ゲノム編集食品など新しいものも出てきました。さまざまな情報を適切に判断するためには、まずは関心を持つことが大切だと思います。国や地方自治体のパンフレットやWebサイトは、中立的で客観的な情報があります。疑問に感じたり、さらに調べたりすると自ずと知識が身につくはず。それが私たちの身を守ることにつながるのではないでしょうか。参照1食中毒を防ぐ3つの原則・6つのポイント(政府広報オンライン)https://www.gov-online.go.jp/featured/201106_02/index.html参照2食中毒から身を守るには(農林水産省)https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/index.html参照3健康食品(消費者庁)https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/food_safety_portal/health_food/執筆者PROFILE消費生活コンサルタントもりた森まき田満樹消費者団体(一社)Food Communication Compass代表。消費生活コンサルタント、東京海洋大学非常勤講師。食品安全、食品表示、消費者問題などで、講演や執筆活動を行っている。著書は『新しい食品表示がわかる本(女子栄養大学出版部)』『食品表示法ガイドブック(ぎょうせい)』など。08コーポロ2021年3月号