2008年3月14日 京都生活協同組合
日頃より京都生協の商品をご利用いただき、誠にありがとうございます。
この度、天洋食品製造の『COOP手作り餃子』による重大な食中毒事故が発生しましたことにつきまして、組合員のみなさまにご心配をおかけし、またそのことによりCOOP商品全般に対する不安が広がっていることにつきまして、心よりお詫び申し上げます。
『COOP手作り餃子』につきましては、京都生協としての取り扱いはなかったとはいえ、COOPのマークをつけた日本生協連開発商品で重大な食中毒事故を発生させてしまいましたことは、生協全体の信頼が根本から問われる深刻な事態であると考えています。
今のところ事実の全容もまだ明らかになっていませんが、現時点で明らかになった事実や当面の取り組み等につきまして以下の通り『中間報告』いたします。
1.これまでの経過。
(1)すでにお知らせしております通り、千葉県、兵庫県で発生した重大な食中毒事故の原因として確認されている日本生協連『COOP手作り餃子』、及びジェイティフーズ『中華deごちそうひとくち餃子』につきましては京都生協での取り扱いはありませんでした。
(2)しかしながら、問題となった商品を製造した中国の『天洋食品』で製造された別の商品、あるいは『天洋食品』から原材料の一部を仕入れていた商品、またその後に行われた緊急検査によりあらたに農薬が検出された商品やそれに関わる商品などがございましたので、これら商品については念のため万全を期して回収を呼びかけさせていただきました。
(3)これまでのところ京都生協では返品された商品などから有機リン系農薬等が検出されるといった事例は確認されておりません。
(4)京都生協としては健康被害の拡大を防止するということを最優先し、組合員のみなさまからのお申し出への対応や商品回収をすすめるとともに、取り扱い商品についての情報や、この間の経過や当面の対策等をとりまとめた『中間報告』などの情報の提供をすすめてきました。また、この間の事態についてさらに理解を深めるための「学習会」なども実施してきました。
(5)千葉県、兵庫県での最初の重大な食中毒事故の発生以降、中国で製造された冷凍加工食品を中心とした検査が生協を中心に様々な企業、行政機関等によって行われました。結果として、問題となった商品以外からも微量の残留農薬が検出されています。
(6)一方、厚生労働省を中心に、この間有機リン中毒発症の申し出があった全国5,789人についての調査が行われていましたが、最初の千葉県、兵庫県の重大食中毒事故での3件10人以外の5,779名についてはすべて有機リン中毒との関係が否定されています。(3月3日現在)
(7)日中両国政府や警察等の関係機関を中心に今回の「事件」についての真相究明がすすめられていますが、現在までのところ、何故このような重大な食中毒事故が発生したのか、その基本的な事実すら未解明のままとなっています。
2.当面の緊急対応として以下のことを実施しています。
(1)日本生協連、コープきんき事業連合とも協力しながら、天洋食品だけではなく、それ以外の工場で製造されたCOOP商品やメーカーブランド商品についても、中国で製造された加工食品、主要な原料が中国産である加工食品については残留農薬検査を緊急に開始しました。
(2)日本生協連や全国の生協とも協力しながら、天洋食品以外の工場も含め、中国で製造されているCOOP商品についての通常点検以外の緊急工場点検を実施しました。
(3)加工食品の原料原産地についての情報の充実をはかりました。この情報は、ホームページで公開するとともに、お電話での問い合わせにも対応できるようにしております。
3.今回の事故では、生協の品質管理と危機管理のあり方が問われました。
今回の事故は、通常では考えられない異常な濃度の有機リン系農薬が検出されるなど、何者かによる意図的混入の可能性が高いと考えられますが、現時点ではまだその全容が明らかになっているというわけではありません。しかしながら、現状の生協の『品質管理システム』や『危機管理システム』によって今回のような事故を防ぐことができなかったのは何故なのか、どこに弱点があったのかといった点について深く分析し、再発防止にむけてあらたなシステムを抜本的に構築し直すとともに、行政へも働きかけていく必要があると考えています。
4.『品質管理システム』の現状と課題について。
(1)日本生協連、コープきんき事業連合、及び京都生協では独自の『品質管理システム』に基づき、COOP商品を中心に、取り扱い商品の安全を確保していくための取り組みをこれまでも先進的にすすめてきました。
ⅰ)日本生協連は今回問題となった『COOP手作り餃子』についても、定められた基準に沿って原材料にまでさかのぼっての残留農薬検査、微生物検査等を実施してきました。
ⅱ)また、中国に常駐する駐在員による現地工場点検も、天洋食品を含め定期的に実施してきました。
(2)生協が現在運用している『品質管理システム』は、通常のリスクとして最も優先すべき微生物や原材料に残留する農薬、食品添加物などの化学物質について管理していくことを目的としたシステムであり、今回のような限られた範囲での農薬の意図的と考えられる混入といった事態には対応できないシステムであるといえます。
ⅰ)原料となる野菜の残留農薬など原材料由来の化学物質汚染や微生物汚染は比較的広い範囲で繰り返し発生することが多く、現行の『品質管理システム』はそれらを発見する上では有効なシステムであると考えられます。
ⅱ)一方、今回の事故のように農薬がごく限られた範囲で、意図的にあるいは誤って混入された場合には、それがたとえ高濃度のものであったとしても現行の『品質管理システム』ではそれを発見することは困難であるといわざるを得ません。
ⅲ)今回のような事態に対応するという点では、国内国外を問わず現在広く運用されている『品質管理システム』という枠組みでは不充分であり、むしろ「農薬等の意図的な混入、あるいは誤っての混入から食品を守る」という視点でのまったく新しいシステムづくりが必要となっているといえます。
5.『危機管理システム』の改善課題について。
今回の事故が発生する以前に、東北の別の生協で「異臭事故」が発生しており、生協全体としてのその際の対応に不手際があったということが言われております。この点につきましては、日本生協連を含む生協全体の現行の『危機管理システム』に大きな改善の余地があると考えています。
ⅰ)事故発生時の関係機関などへの情報伝達のあり方、何らかの異常があった時の判断のあり方など、情報管理や危機管理という点での抜本的な見直しが必要です。
ⅱ)全国の生協で散発的に発生する事例は充分にネットワーク化されておらず、そのデータベース化も含め「危機を予知する仕組みづくり」ができていません。この点では日本生協連を中心に生協全体の抜本的な体制強化が必要であると考えています。
ⅲ)これらの点については、当事者のひとりである『みやぎ生協』で事実分析が行われ、『再発防止策(1次案)』がすでに発表されています。京都生協としてもこれらの内容を参考に『改善課題』を至急とりまとめていく考えです。
6.今後の対策について。
今回の重大食中毒事故の発生を受けて、日本生協連は外部の専門家による『第三者検証委員会』を設置しa.日本生協連および会員生協における事件への対応の評価、b.生協の品質保証体制の評価と強化にむけての課題、c.従来の想定の枠をこえた事態への対策のあり方、d.発生したクライシスへの対応のあり方、の4点について4月中に中間答申を、6月中に最終答申を取りまとめるよう作業を開始しています。また、それとは別に『日本生協連対策強化委員会』もa.品質管理の強化、b.お問い合わせ対応の強化、c.クライシス対応の強化という3つのテーマを設定し検討が開始されています。
京都生協としては、これらの議論の内容も参考にしながら、以下の諸点についての対策をすすめていきます。
ⅰ)加工食品の原料原産地情報の充実につきまして、一部既に緊急実施しておりますが、情報提供手段の改善などを含めて今後更に改善をすすめます。
ⅱ)中国で製造している加工食品についての緊急工場点検については既に実施しましたが、それとは別に、上記5.にも述べました通り「事件性」の高い重大商品事故の発生に対応する業務システム全般の見直しをすすめます。物流センターや店舗での、商品点検など、優先して行うべきものについては至急実施します。
ⅲ)今回のような重大な商品事故が発生した場合に有効な対応が迅速に行えるよう、現行の『危機管理体制』を抜本的に見直し、(1)情報の収集、(2)意思決定、(3)商品回収などの被害拡大の防止、(4)情報提供のあり方などについての『行動基準』を整備します。
ⅳ)従来からおこなってきました産地、工場での農薬等化学物質の適正管理といったこととあわせて、商品の製造、流通に関係するすべての取引先に対して、有害物質の意図的混入などを防止するための特別な対策の確立を新たに求めるとともに、それが適正に運用されていることを至急確認します。
ⅴ)現行の『食中毒対応マニュアル』について、食中毒菌などの微生物汚染を前提としたものから、農薬等化学物質の意図的混入による事故も想定したものに改訂します。
7.終わりに。
今回の事故の背景には、日本の食糧自給率が39%といった水準にまで凋落し、生鮮食品だけでなく、加工食品の製造も含む国内の食品産業全体が空洞化してきているという実態があります。加工食品での国産の品揃えの強化、産直・ふぁーむねっと商品の強化・拡大をはじめとする国産農畜産物の取り扱い強化を柱に、食糧自給率の低下をくい止め、高めていくための取り組みを今後よりいっそう強めていきます。
今後も新たに明らかになった事実、原因究明の中で分かってきたこと、再発防止策の進捗状況などにつきまして、引き続き情報提供してまいります。
COOP商品で重大な食中毒事故を発生させてしまいましたことについて重ねてお詫びいたしますとともに、今後ともご支援いただきますよう心よりお願い申し上げます。