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概要

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いま、動物園に求められる役割理事長京都生協は、戦争が終わって約20年ほど経った1964年に、より良いくらしを求めて設立し、前提として平和であることを大事にしてきました。京都市動物園も戦争を経験されたと思いますが、平和と動物園との関係をどのようにお考えですか。片山園長第2次世界大戦の折、京都市動物園や他の大都市の動物園において、猛獣や大型動物の殺処分指令が出ました。本当に悲しい出来事でした。裏を返せば、動物園が動物園らしく健全に存在するのは、平和の一番の象徴なのです。ライオンの「ナイルくん」は老齢で痛々しく見えますが、天寿を全うするまで大事に飼育するのが我々の役割。歳をとったけれども元気にしている、大事に飼育されていることを感じていただきたいです。理事長園内に動物たちのお墓と「手を合わせる場所」という看板があったので、単純に動物を見るだけの場所ではないのだろうと思いました。片山園長「動物慰霊祭」を始めたのは、実は京都市動物園が第1号なのです。神社仏閣が多い土地柄、命の尊厳に手を合わせるということが身近なのかも知れませんね。理事長私たちが食べるものも命をいただくことなので、感謝することが大事。その気持ちを子どもたちに学んでもらうことも大事なことだと思いました。では、平和な今日における動物園の役割を聞かせていただきたいです。片山園長今日的な動物園の役割は4つあると言われています。1つは、絶滅の危機に瀕している動物の種の保存、飼育、繁殖をしていくこと。2つ目は、生息地や動物の調査、研究。3つ目は、教育、普及。知ったこと、学んだことを広く市民に知ってもらう。危機に瀕していることも含めてです。4つ目は、レクリエーション。楽しさの中で学んでもらう。『園長はんとお散歩』も小さな教育普及の1つだと思っています。大人の方に動物園のことを学んでもらう。特に調査研究と教育普及は、公営の動物園の大きな使命だと思います。全国にある約80の動物園のうち、公設公営は半数ぐらいです。その中でも、政令市・大都市の歴史ある動物園が日本の動物園をリードしていけたら。学会発表などを積み重ねて「京都市動物園はすごい」と広まることで、信頼が厚くなっていくのです。何かの時に、「京都市動物園だったら貴重な動物であっても譲り渡してもいい」となると思います。理事長今まで動物園とは子どもが楽しむ場所と思っていましたが、それだけではないのですね。片山園長もちろん子ども向けの学びのメニューもたくさん用意しています。夏休みには「サマースクール」という飼育や動物のことなど楽しく効果的に学べる1日体験のプログラムがあります。動物と触れ合うことの大切さと、小さな感動体験が入口として大事なポイントだと思います。理事長図鑑や写真、テレビ、インターネットでも動物はいくらでも見られますが、動物の体温やにおいは直接触れる体験がないと分からないと思います。京都生協は子育て世代への支援を強める一方で、高齢化でシニア・シルバー世代への対応も求められています。京都市動物園の幅広い世代へのアプローチを紹介していただけますか。片山園長高齢の方も童心に帰って楽しめると思いますので、例えば同窓会やグループの会合など、動物園を集合場所にして楽しんだ後に食事に行くという使い方ができます。また、いろいろな職場、職域の方に研修を兼ねたレクリエーションという使い方もしていただけます。園内の掃除をしながら、動物園の講演・レクチャーがあるとか。理事長京都生協の研修なども動物園でできたらいいかもしれませんね。最後に、これからの動物園の構想があればお聞かせください。片山園長京都市動物園に来たら、動物が、植物や樹木が、訪れた人や職員が生き生きしている。それぞれの命が輝いているような動物園にしていきたいです。「命輝く動物園」、その可能性を持っていると思います。理事長本日は多くのことを学ばせていただきました。ありがとうございました。畑忠男はたただお京都生協理事長1985年京都生協に入協。2015年より理事長に就任。05