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コラム・コープ安全のひみつ?バランス良く食べるとは?食の安全・安心をとりまく状況も、日々さまざまな情報で変化していきます。今必要な情報は何か。科学ジャーナリスト松永和紀さんによる最新の情報を、コラム形式でお届けします。「食事バランスガイド」をご存知ですか?国が出している食生活の指針です。食生活がこのガイドに沿っている人は健康度が上がり、死亡リスクが1?2割下がることが確認されています。これほど高い効果を持つサプリメントや特定の食品はありません。野菜や果物をたっぷり、主食や砂糖、脂質などはほどほどの、バランスのとれた食生活が大事なのです。8万人の調査で判明死亡リスクが下がる国立がん研究センターなどが、全国で1990年代から約15年間、どのような食事をしていた人がその後、どんな病気になったか、亡くなったかなどを追跡し、約8万人のデータを解析しました。その結果、食生活が食事バランスガイドに近い人は、死亡リスクが15%も低かったことが分かりました。また、脳血管疾患による死亡リスクは22%も下がりまプロフィール科学ジャーナリスト。京都大学大学院農学研究科修士課程修了(農芸化学専攻)。毎日新聞社に記者として10年間勤めたのち独立。食品の安全性や環境影響等を主な専門領域とまつながわきして、執筆や講演活動松永和紀さんなどを続けている。「メディア・バイアスあやしい健康情報とニセ科学」(光文社新書)で科学ジャーナリスト賞2008を受賞。新刊は「効かない健康食品危ない自然・天然」(光文社新書)した。これらの研究は学術論文がまとめられ、2016年3月、権威ある学術誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」に掲載されています。食事バランスガイドは2005年に国が定めたもので、9ページの図のように、さまざまな食品をバランスよく適量とる食生活です。副菜(野菜やきのこ、いも、海藻料理)が多いのが目を引きますね。牛乳・乳製品も、カルシウムや良質のたんぱく質の供給源として、重視されています。諸外国も、研究結果を基に多種類をバランス良く適量食べる食事を推奨しています。マジックフードも悪魔フードもないそれなのに、特殊な食事方法やサプリメントが流行します。根拠は希薄なのにどうしてでしょうか?おそらく、「バランスの良い適量の食事」はあまりにも当たり前過ぎて、人々の関心を引かないのです。それは分かっているけれどできないから、つまらないから、と多くの人が特別な方法に走ってしまいます。食情報の研究で有名な高橋久仁子・群馬大学名誉教授(栄養学)はこう指摘します。「それさえ食べれば健康が約束されるマジックフードも、病気になる悪魔フードもありません」。「2 0 1 7年国民健康・栄養調査」によれば、野菜の摂取量はこの10年間で1割近く減っています。野菜をしっかり食べましょう。そして、塩分は控えめに。調査では、日本人の食塩摂取量は1日平均9.9g。年々減っているように見えるのですが、この調査はアンケートに答えてもらうやり方のため、どうしても過少申告につながりがちです。東京大学の厳密な調査で、実際には男性で平08コーポロ2018年2月号