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概要

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畑忠男Tadao Hata京都生協理事長1985年京都生協に入協。2015年より理事長に就任。でも外国人留学生に「あなたの国の料理を作って」と言って、一緒に食べることで味や感覚の違いなどを通して互いの文化を知ることができます。一方的ではなく、「あなたのことを教えて」と言うと、「大事にされている、関心を持たれている」と相手が感じ、友好関係が良くなるのです。畑一緒に食べることで距離が縮まる、ということですね。「頼もしき隣人」をつくるコミュニケーション畑京都生協は職員ビジョンとして「頼もしき隣人たらん※1」を掲げ、1人の人間として自立し、職員同士も「頼もしき隣人」として助け合っていきたいと考えています。そのためにはコミュニケーションが活発であるべきですが、個を大切にしながらより密なコミュニケーションをとるためには、どんなことが大切でしょうか。サココミュニケーションは昔のように自然発生する可能性は低くなっています。意識的にお互いを知る機会、場を作るしかありません。大学でも1年生の時にいろいろな共同作業の機会や場を増やすことによって、自然とコミュニケーションが生まれます。畑ちなみに、かつては日本でも地域で子育てをしていたのですが、マリでは皆さんどのように子育てをされていますか。サコ子どもたちはみんなの子どもですから、悪いことをしたら他人に叱られたりもします。今の子どもは叱られるチャンスがない。大人が子どもに寄り添う姿勢を持たなくなってきているのが問題ではないかと思います。畑生協が子どもに寄り添い、またお母さんの抱えるいろいろな問題を解決できるようになればと思います。京都生協では親子で参加できる「子育てひろば」を実施しています。子どもと2人きりでずっと家に閉じこもっていると大変だと聞くこともあるので、お母さん同士が会話できる場を生協が設けています。サコお母さん同士がコミュニケーションをとることで、問題が解決するケースもたくさんあると思います。多数派の意識を変えることが多様性への第1歩畑多様なバックグラウンドを持つ人たちが通う京都精華大学は、違いを受け入れつつも対等に機会が開かれていると思います。大学の方針として、またサコさん個人としてもこの考えに至った背景、気づきのきっかけは何でしょうか。サコ私が日本に来たとき、外国人として優遇された一方、制限もありました。一般社会の日本人と対等ではなかったのです。だから私は外国人という肩書きに甘えず日本社会に入っていきました。日本語が分からなくても一生懸命話して、研究論文も日本語で書く。大学も対等の立場を与えてくれたことで、私は自分の可能性に気づけました。ダイバーシティ(多様性)は少数派に対して特別な条件を与えるのではなく、多数派の意識を変えることが重要です。そうすると自然と多数派・少数派という格差ではなく、「みんなで一緒に」が実現できると思います。畑京都精華大学が掲げている「ダイバーシティ推進宣言※2」を拝見し、とても共感しました。素晴らしい言葉だと思います。京都生協グループでは障がい者や外国人留学生、研修生の雇用を進めています。多様な人たちが働ける、また多様な働き方ができる職場環境づくりを進めていく上で、大切にすべきことがありましたらお聞かせください。サコ日本では、ワークシェアリングが難しい。生活のために仕事をしているのに、仕事のために生きているようになっています。そこをどう変えるかです。畑個人の状況を出し合って共有するような職場環境づくりが大事ですね。お互いに認め合い、尊重し合い、そこから学び合う姿勢で社会が成り立っていけば、より良い世界、より良い社会になっていくのではないかと思いました。本日はありがとうございました。※2京都精華大学ダイバーシティ推進宣言2018(一部抜粋)本学ではダイバーシティを「多様なバックグラウンドや属性を持つ人々が違いを受容し合い、対等に機会が開かれること」と定義し、これを推進します。(中略)誰もが多様で差異がある、という考えに立ち(中略)人間の多様さに触れる機会を学内の様々な場面で継続的に設けることで、共生の意識を醸成します。違いを理解しようとするプロセスで生まれる「価値観の変化」や「他者への想像力」こそが新しい発見や思考につながり、(学生、教員、職員をはじめとする)構成員全体の創造性を高めると考えるからです。コーポロ2019年1月号05