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概要

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畑忠男Tadao Hata京都生活協同組合理事長1985年入協。2015年より理事長に就任。栽培している農家の元へ研修に行かせます。畑生産現場の想いを知ると、無駄にはできない。まさに食育ですね。生き物の命をいただくから、感謝をもって扱わなければ。村田「いただきます」は「あなたの命を、私の命としていただきます」という日本特有の考え方です。食全般に関して言えば、高齢者は自分が寝込んでしまうのが不安だから、いっぱい食べ物を買い込み賞味期限が過ぎたら捨てるし、そもそも量をあまり食べられない。単身者や老夫婦の食にどう対応するかが食品ロスの課題です。畑容量が少なめの商品も必要になってきますね。村田きっと将来的に食品ロスはなくなりますよ。今、日本の人口は1億2,600万人で50年後には8,000万人になると言われています。その時、約25%の働き手が残り75%の人を食べさせないといけない状況になります。一方、世界では人口爆発により地球規模での食糧危機が起こる。その時にわが国の子どもを飢えさせたくない。僕は今の子に米食を習慣づけて日本の食糧自給率を上げたいので、食育に取り組んでいます。来るべき時に備えて生きた田んぼを増やすため、飼料米ももっと生産していかなければならない。畑京都生協では飼料米を鶏の餌にして、その鶏が産んだ「さくらこめたまご」を供給しています。卵1個につき1円の応援金を上乗せして、ご利用いただいています。村田それも食育の一つですね。僕たちは和食文化を維持継承するシステムとして、京都府立大学に和食文化学科をつくりました。ほかにも、立命館大学に食マネジメント学部が、龍谷大学の農学部に「食の嗜好研究センター」ができ、来年には農学博士が3名輩出されます。こうして次世代への食育をすすめているのです。「生活者」に寄り添い続けたい畑村田さんは「食」を中心にさまざまなことに関わっておられますが、意欲の源泉はどこにありますか。村田弱者にどう対応していくのかは、すごく考えますね。お金持ちしかおいしいものが食べられない世の中は、僕は嫌いですから。畑日本全体の「食」をより豊かにすることを志しておられるのですね。現代社会は格差が大きなテーマになっています。京都生協では十分に食べられない子どもたちのために「子ども食堂」などを通じて支援したいと思っています。村田実はこの対談をお受けした理由は、京都生協の組合員が「生活者」だからです。暮らしの中でおいしく健康に良いものを食べてもらえるよう、一生懸命事業や取り組みをされているのだろうと。僕も「菊乃井」をある特定の人のための施設にはしたくない。特に本店は生活者の方々に、人生の節目の日に少しだけぜいたくな気分を味わうために使ってもらえる施設でありたいです。畑京都生協も京都に暮らす人の「くらし」と「食」をより豊かにしたいという想いがあります。働く女性が増えている今、家庭で和食を簡単においしく作れる方法はありますか。村田家庭料理はそれほど手間が掛かりません。食材からうまみが出るから、だしがなくてもいいくらいです。例えば、水に昆布と牛肉を入れて火にかけアクを取り、薄口しょうゆと刻みねぎ、冷凍うどんを入れたら肉うどんのできあがり。出来たてを食べたら100点です。畑素材の味を大事に、熱々を食べれば良いというわけですね。最後に、京都生協に期待することを聞かせていただけますか。村田安全性が確保されたさまざまな食材を扱っておられるので、夫婦2人だけで経営しているような、小さな飲食店の食材仕入れの配達にも対応してもらえたら、喜ばれると思います。安全があって初めて「おいしい」ですからね。畑京都生協は独自基準でのチェックで、商品の安全性を担保しています。本日の対談を通じて、私たち京都生協が、事業活動を通じて生活者の食を大切にしていることを改めて認識することができました。ありがとうございました。村田ありがとうございました。05