ブックタイトルbookcopolo2106

ページ
12/16

このページは bookcopolo2106 の電子ブックに掲載されている12ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

bookcopolo2106

教えて!森田さん今月のテーマ国が食品リコール情報を一元管理、公開へ新聞の社告やニュースで時々見かける食品リコール(自主回収)。異物混入、表示間違いなど理由はさまざまですが、店頭告知などの小さなリコールも含めると、その数は年間約1,000件近くにおよびます。食の2021年6月スタート食品リコール情報報告制度事業者が食品の自主回収(リコール)を行う際に、自治体を通して国へ報告するリコール情報報告制度がスタートします。こうしたリコール情報は、民間のWebサイトなどで更新されていますが、集計方法がバラバラで消費者にとっては利用しにくいものでした。一方、欧米では国が食品リコール情報を公開しており、日本は遅れている一面もありました。そこで国は、食品リコール情報を一元的に管理・公表する制度をつくることを決め、関連する2つの法律(食品衛生法、食品表示法)を2018年に改正しました。事業者は食品リコール情報の報告が義務付けられ、2021年6月1日より施行されます。今後はどんな製品が、どのような安全性の問題でリコールされているのか、消費者も国のWebサイトで見られるようになります。安全性のリスクに応じてクラス分け新制度の対象は健康被害のおそれがあるものが対象ですが、リコールの理由が食品衛生か、食品表示かによって法律が異なります。1)食品衛生法違反または違反のおそれの場合(例:大腸菌による汚染や異物の混入など)執筆者PROFILE2)食品表示法違反食品衛生法食品表示法消費生活コンサルタントもりた森食品リコールによるリスクに応じたクラス分類リスク大リスク小CLASSⅠ例)ガラス片など硬い異物混入の食品CLASSⅠアレルゲンの欠落など田満樹(例:アレルゲン、消費期限、保存方法などの安全性に関する表示の欠落や誤り)いずれも同じサイトで確認でき、その商品名、回収理由、想定される健康被害の情報を知ることができます。また、食品のリスクに応じたクラスの分類も行われ、1)は3分類、2)は2分類と、いずれもCLASSⅠがもっとも健康被害のリスクが高く、要注意かどうかが一目で分かります。CLASSⅡ例)一般生菌数など成分規格不適合の食品食品ロスの観点から、リコールを見直すCLASSⅢ例)添加物の使用基準違反食品CLASSⅡ安全性に関する表示違反でCLASSⅠ以外のもの少し前にビールの「LAGAR」のつづりが「LAGER」の間違いだったと発売中止となり、「飲めるのにもったいない」との意見が相次ぎ、取り消されたことが話題になりました。これは極端な例ですが、年間1,000件近い食品自主回収の中には、安全性に問題なく食べられる事例が多いのが現状です。2019年に食品ロス法(食品ロスの削減の推進に関する法律)が施行されたこともあり、国は新制度で健康被害のおそれのないものは報告の対象とせず、食品ロスの観点から十分に注意するように事業者にも呼びかけています。新制度が始まり、健康被害のあるものが確実に消費者に伝わり、そして食品ロスの観点からも現状のリコールを見直してもらいたいと願います。ま消費者団体(一社)Food CommunicationCompass代表。消費生活コンサルタント、東京海洋大学非常勤講師。食品安全、食品表示、消費者問題などで、講演や執筆活動を行っている。著書は『新しい食品表示がわかる本(女子栄養大学出版部)』『食品表示法ガイドブック(ぎょうせい)』など。きコーポロ2021年6月号