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概要

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など、全ての人たちの信頼と共感を高めるために、2020年11月に京都生協の年にはこうなっていたい」という願いを込めて、「2030年ビジョン」を決定しました。京都生協ホームページからもご覧いただけます。1.2.京都生協を取り巻く環境今、世界は気候変動の脅威にさらされており、台風や大雨、干ばつなど自然災害が増加しています。また、絶えない紛争、格差の拡大、飢餓や貧困、新型コロナウイルスのパンデミックによる社会的・経済的影響など、解決すべき問題を抱えています。日本においても、子どもの貧困や年金問題、医療費負担額の増大、福島第1原発事故の後処理など、将来に対する不安が広がっています。京都府内の人口は2004年の265万人をピークに下降し始めました。2030年にはピーク時の約90%にまで減少し、全世帯の41.3%を一人暮らし(単身世帯)が占めると見込まれています。このことによる地域コミュニティの衰退などが懸念されます。これまでの歩み京都生協は1964年、高度経済成長の矛盾に苦しんでいた当時の人々の、暮らしを守る切実な願いを受けて設立されました。初期の御用聞きスタイルから共同購入、店舗事業へと展開し、組織を急速に拡大してきました。90年代初めには、環境や福祉分野の目指すべき方向性を定め、地域社会における協同組合としての社会的役割について政策化してきました。組合員がコープ商品の開発や「食の安全」を求める取り組み、平和の取り組みなどの活動に携わることで、消費者としての意識が高まり、女性の社会参加が広がるなど、より良い地域社会づくりに貢献してきました。一方で、90年代半ばには、暮らしの変化への対応が迅速にできず、組合員数は拡大する中で一人当たりの利用が低下し、供給高の後退・低迷による経営危機を経験しました。国連は2012年、世界が抱える貧困、金融・経済危機、食糧危機、気候変動などをはじめとする現代社会の重要課題の解決に向け、協同組合が大きな役割を果たすことを期待して、「国際協同組合年」を決議しました。また、2015年には「持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)」を採択しました。組合員の暮らしに応える商品・サービスの提供や経営基盤の強化により経営危機を乗り越えた京都生協は、一人ひとりの声を大切にした事業や活動を進めると同時に、国際協同組合年、SDGsに対応する取り組みを強めてきました。これらの活動を通して、協同組合の価値(自助、自己責任、民主主義、平等、公正、連帯)や果たす役割を改めて認識し、頻発する自然災害や環境問題の深刻化、貧困の問題などの社会的課題に向き合うことで、地域社会に安心と笑顔を広げ、2020年には京都府下で55万人を超える組織になりました。3.「これからの10年」への想い私たちが直面しているさまざまな問題を解決するために、より一層「安全・安心」を高めていかなければなりません。それは暮らしの中だけでなく、京都生協の事業や活動そのものが社会や環境、さらには私たちが暮らす地球にとっても「安全・安心」であるということです。理念に据えた『頼もしき隣人たらん』には、組織、個人(組合員)として相手に寄り添い、ともに考え、行動することで、協同の輪をさらに広げ、発展させていきたいという想いを込めています。それは、認め合い助け合う関係を紡ぎ、希望をつくる力にもなるからです。2030年ビジョンには『京都生協は新たな希望をつくる』と掲げました。協同組合の原点である一人ひとりの願いや想いの実現に力を尽くすとともに、さらに組合員、職員、生産者、取引先、関係団体、行政、地域社会と力を合わせ、SDGsの実現に向けた取り組みを強めます。地域社会、ひいては地球環境の持続可能な発展を担う事業や活動を追い求めることが、さらに次の時代のスタンダードとなり、京都生協が未来へとつなぐ新たな「希望ある存在」として、多様な人々がともに暮らし、安心できる社会の実現を目指します。そのために、(1)京都生協の総合力で普段の暮らしへの役立ちを高め、(2)誰もが安心して暮らせる地域社会づくりを進め、(3)持続可能な世界の実現に貢献し、(4)多様性を認め合う活力ある組織を目指していくことを「実現したい姿」と置き、実施すべき課題は2030年までの中期計画の中で策定します。コーポロ2021年6月号