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教えて!森田さん今月のテーマ食の家庭で気を付けたい食中毒予防のための3原則新型コロナウイルスの影響を受け、2020年の食中毒統計は外食での発生が減る一方、家庭での食中毒は増える傾向にありました。おうちごはんが増える中で、今こそ気をつけたい食中毒予防3原則についてまとめます。新型コロナウイルスの影響で食中毒件数が減少厚生労働省発表の食中毒統計によれば、2020年の食中毒発生件数は過去20年間で最も低い887件でした。発生場所で見ると、飲食店では大幅に減少していましたが、家庭では166件と昨年よりも増加しており、コロナ禍で内食が増えた影響が表れています。実際にはさらに多くの食中毒が家庭で発生していると思われます。では、どのような病因物質で食中毒が発生しているのでしょうか。2016 2017 2018 2019 2020細菌480 449 467 385 273ウイルス356 221 265 218 101寄生虫147 242 487 347 395化学物質17 9 23 9 16自然毒109 60 61 81 84その他3 4 3 4 3不明27 29 24 17 15総数1,139 1,014 1,330 1,061 887執筆者PROFILEもりた森上位3項目は、細菌・ウイルス・寄生虫ですが、2020年は細菌、ウイルスが減少し、特にノロウイルスによる食中毒は6割近くも減少しました。一方、魚の寄生虫アニサキスによる食中毒は昨年よりも増えています。予防のためには、新鮮な魚を選ぶこと、目視で確認すること、さらに冷凍や加熱が有効です。食酢や塩漬けなどでは死滅しないので、注意しましょう。食中毒を防ぐ3つの原則食中毒の症状は、腹痛、下痢、おう吐など辛いものです。予防には、食中毒菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」の3つが大原則となります。まずは「つけない」ために、料理や食事前に手を洗う、食品を保存する際にはラップやポリ袋で包み他の食材につかないように分けることです。焼肉の場合は生のものと焼いたものを扱う箸やトングを分ける、野菜を切ってから肉や魚を切るなど、調理の順序にも気をつけましょう。次に「増やさない」。細菌を増殖させないために、食材はすぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。冷蔵庫は詰め込みすぎないように。低温でも生き残るリステリア菌などもいますので、冷蔵庫を過信せず早く食べることも大事です。また、カレーやシチューなどの煮込み料理は、冷ます際に室温で放置すると菌が増えやすく食中毒が多発しています。鍋ごと冷水に浸す、小分けするなどして急激に温度を下げ、菌を増やさないように冷蔵・冷凍保存をしましょう。最後に「やっつける」。多くの細菌は75℃以上で1分以上加熱すると死滅するので、食材の中心部までしっかりと火を通して食べるようにしましょう。包丁やまな板など調理器具の洗浄、殺菌も菌をやっつけるのに有効です。消費生活コンサルタント田満樹まだまだ家庭での食事の機会が多い中で、3つの原則を基本に食中毒を予防していきましょう。ま消費者団体(一社)Food CommunicationCompass代表。消費生活コンサルタント、東京海洋大学非常勤講師。食品安全、食品表示、消費者問題などで、講演や執筆活動を行っている。著書は『新しい食品表示がわかる本(女子栄養大学出版部)』『食品表示法ガイドブック(ぎょうせい)』など。きコーポロ2021年7月号