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教えて!森田さん今月のテーマ食の消費期限と賞味期限執筆者PROFILE消費生活コンサルタントもりた森ま田満樹消費者団体(一社)Food CommunicationCompass代表。消費生活コンサルタント、東京海洋大学非常勤講師。食品安全、食品表示、消費者問題などで、講演や執筆活動を行っている。著書は『新しい食品表示がわかる本(女子栄養大学出版部)』『食品表示法ガイドブック(ぎょうせい)』など。き食品表示のアンケートで、多くの人が「必ず確認する」という項目が「消費期限」と「賞味期限」です。どう違うのか、見ていきましょう。消費期限は安全の目安、賞味期限はおいしさの目安食品表示法では、加工食品に「消費期限」か「賞味期限」のどちらかの期限表示をすることを義務付けています※1。日持ちがしない弁当やサンドイッチなどには「消費期限」が、スナック菓子や缶詰などある程度日持ちがする食品には「賞味期限」が付けられます。「消費期限」は製造日から微生物が増殖するなど急速に品質が悪くなり、安全に食べられる期間が短い食品で、その期限を過ぎたら食べない方がよいとされる目安です。「賞味期限」はおいしく食べることができる期限です(図)。このため、賞味期限が過ぎてもすぐに食べられないということではありません。なお、期限表示は開封されていないことが前提条件で、開封後は品質が急速に劣化しますので、その期限まで持たないことも知っておきましょう。海外でもこの2つに分けられており、前者は「use-by date」で「この日までに使ってください」という意味です。後者は「b e s t - b e f o r e」で「この日までならおいしく食べられる(この日を過ぎても食べられる)」ことを意味します。かつて日本では製造年月日表示が付けられていましたが、国際的に期限表示に一本化することになり、1995年から製造年月日表示は使われなくなりました。昔は牛乳に製造年月日と品質保持期限が書いてあったと思い出される方もいらっしゃるでしょう。品質保持期限という言葉は賞味期限に統一され、今は期限表示だけが付けられることになっています。品質安全に食べられる限界→→賞味期限は安全係数をかけて決められる同じような食品でも、製造方法や包装方法によってどちらを付けるかが異なり、例えば低温殺菌牛乳は消費期限が、一般的なUHT殺菌※2の牛乳は賞味期限が付けられます。どちらの期限表示を付けるかは、その食品の性質を一番よく知っている事業者が、国が定めたガイドラインの考え方に沿って定めます。消費期限と賞味期限のイメージ(農林水産省資料より)→早く悪くなるもの製造日消費期限賞味期限ガイドラインでは、食品の特性に応じて微生物試験、理化学試験、官能試験などを行い、まずは食べられる期間を決め、そこに安全係数(1未満)をかけて、さらに短い期間に設定する考え方が示されています。賞味期限の場合は、安全係数は0.8?0.9程度が多く、余裕をもって付けられています。賞味期限が過ぎても食べられるというのは、こうした安全係数の考え方が根拠となっています。劣化が比較的遅いものまだ食べられる保存日数食品ロスに関心が高まる中で、賞味期限について理解してもらおうと消費者庁は標語を募集し、「おいしいめやす」が選ばれました。買い物の場面でも、すぐに食べるなら手前にある食品を取ってもらおうと「てまえどり」のポスターもつくって呼びかけています。期限表示の意味を理解し、食品ロスにも配慮しつつ安全でおいしい食生活を楽しみましょう。※1長期間でほとんど安全性・品質が変わらない加工食品は期限表示が不要とされており、砂糖、塩、ミネラルウォーター、アイスクリームなどが該当します。※2超高温瞬間殺菌。牛乳が120~150℃で数秒間殺菌され、その後急速に冷却される方法。→コーポロ2021年8月号