のコーポロ 2025年11月号出典:日本版包装前面栄養成分表示に関する検討会https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/review_meeting_013/上記の図は、下記を参考に作成https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_250728_15.pdf 消費者庁の 3年にわたる検討の結果、日本版FOPNLの様式は、上段には1食当たりの熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の量、下段には栄養素等表示基準値(日本人の平均的な摂取目安に対する割合)の案が示されました。(図)日本人は食塩のとり過ぎが国民的な課題になっているため、食塩相当量は二重で囲んで目立たせるデザイン案としています。 特に下段ではこの食品で1日分の栄養成分がおよそどのくらいとれるのか、割合を知ることができます。たとえば納豆であれば、1パックでたんぱく質が1日分の10%とれることが一目でわかります。消費者庁は国民の意見募集などを経て、11月以降にガイドラインとして公表することになっています。 なお、日本版FOPNLは義務ではなく任意表示です。どのくらい普及するのかはわからず、食品によって異なるかもしれません。 私たちはこれまでどおり、裏面の栄養成分表示をきちんと確認することが大切です。図 日本版包装前面栄養成分表示案 社会的テーマから身近なテーマまで、「食の安全」を専門家が解説消費生活コンサルタントも り たま き森樹消費者団体 一般社団法人 Food Communication Compass 代表。消費生活コンサルタント、東京海洋大学非常勤講師。たんぱく質3.5g6%脂質1.4g2%食品安全、食品表示、消費者問題などで、講演や執筆活動を行っている。著書は『新しい食品表示がわかる本( 女子栄養大学出版部 )』『食品表示法ガイドブック(ぎょうせい)』など。エネルギー92kcal4%1食分(1袋 )当たり炭水化物16.5g5%%は1日の摂取目安に対する割合食塩相当量2.6g35%海外で食品のパッケージを見ると、おもて面に目立つように熱量( カロリー)などの栄養情報を書いてある製品を見かけます。これらは「包装前面栄養表示 」(FOPNL:Front-of-Pack Nutrition Labelling)と呼ばれるもので、消費者庁が今年7月に日本版FOPNL のデザイン案を公表しました。どのようなものか、みていきましょう。 加工食品の容器包装には、原則として栄養成分表示が義務付けられています。裏面などに、1食当たりや100gあたりの、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量がまとめて表示してあり、弁当などのラベルにも小さな文字で書かれています。 栄養成分表示は2015年に食品表示法が施行されたときに義務化が決まり、今では駅弁やお土産などにもすべて表示されるようになりました。消費者にとっては有用な情報で、表示によってかくれ食塩などに気づきます。 一方、消費者庁のアンケート調査によると、現在の栄養成分表示を商品選択のために参考にしている人は半数以下の47%程度にすぎません。多くの人が参考にしておらず、表示されていることを知らない人もいます。 そこで、裏面とは別におもて面にも目立つように表示する方法について、消費者庁は2023年から日本版FOPNL の検討を行ってきました。国際的に見ても、国が統一したFOPNLを作る活動が活発になっており、世界保健機関(WHO)でもガイドラインを公表して、取り組みを促してきた経緯もあります。田 満執 筆 者 PROFIL E栄養成分表示が活用されていない塩分とりすぎを気づかうデザイン案を採用栄養表示をわかりやすく前面に ―日本版包装前面栄養表示食 安 安全 心
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