の等コーポロ 2025年12月号 https://www.fsc.go.jp/kids-box/食品安全について、生産者や事業者、行政、専門家、消費者( 産官学民 )が意見交換などをとおして互いの理解を深めることを「リスクコミュニケーション」と言います。私たち消費者は、どのように関わっていけばよいのでしょうか。 食品は100%安全であってほしいものですが、実はそのような食品がないというのが世界共通の認識です。食品に含まれる危害(ハザード)には自然毒、残留農薬、汚染物質、微生物などさまざまな要因があり、どのくらいの量をとるのかによって健康被害が起こる割合が変わります。この「ハザード」と「摂取量」をかけ合わせたものが「食品のリスク」です。 科学的根拠に基づいて客観的に「リスク評価 」を行う機関が食品安全委員会、次にリスク評価をもとに基準値などのルールを定めて「リスク管理 」を行うのが、厚生労働省、消費者庁、農林水産省などです。生産者・事業者はこのルールを守り、消費者もリスク評価やリスク管理について学び、それぞれが意見交換を行うのが「リスクコミュニケーション」です。 この3つの要素が機能して、食の安全を守るしくみを「リスクアナリシス」といいます(図)。2000年代に入ったころBSEが大きな社会問題となり、国際的にも取り入れられることになりました。日本ではした。 こうしたしくみを含めて食の安全について消費者の理解を深めてもらおうと、これまで行政や研究機関、事業者などが定期的にシンポジウムなどを開催田 満リスク評価食品安全委員会リスク管理消費者庁リスクコミュニケーション食品をつくる人選ぶ人食べる人すべて厚生労働省農林水産省執 筆 者 PROFIL E2003年に食品安全基本法に基づき、内閣府に食品安全委員会が設置されて、このしくみが導入されましてリスクコミュニケーションを行ってきました。また、関係者がウェブサイトや機関誌などで情報発信をしています。例えば食品安全委員会の「キッズボックス 」などは子ども向けとされていますが、大人にとってもわかりやすい内容です。※ 近年、食の安全についてさまざまな情報が氾濫しており、中には科学的根拠に基づかない内容もあります。こんなときは「本当かな」と思って、信頼できる機関のウェブサイトを調べたり、相談窓口に聞くのもよいでしょう。身近な生協や消費者団体の学習会に参加し、実際に事業者がどのような取り組みを行っているのか工場見学に行くのもおすすめです。本機関紙コーポロも生産者の取り組み情報などが満載ですね。 私たちがアンテナを高くして関心を持っているということが関係者に伝わると、きちんと情報提供をしてもらえることにもつながります。リスクコミュニケーションにおいては、消費者がさまざまな食品のリスクに関心を持ち続けることに意味があるのだと思います。図 リスクアナリシス※食品安全委員会キッズボックスの 情報を基に作図社会的テーマから身近なテーマまで、「食の安全」を専門家が解説食べても安全なようにルールを決めるみんなで情報や意見をやりとりする消費生活コンサルタントも り たま き森樹消費者団体 一般社団法人 Food Communication Compass 代表。消費生活コンサルタント、東京海洋大学非常勤講師。食べても安全かどうか科学的に調べる食品安全、食品表示、消費者問題などで、講演や執筆活動を行っている。著書は『新しい食品表示がわかる本( 女子栄養大学出版部 )』『食品表示法ガイドブック(ぎょうせい)』など。食の安全を守るしくみ―リスクアナリシスまずは調べて、聞いてみよう食品安全とリスクコミュニケーション食 安 安全 心
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