機関誌 コーポロ2025年12月号|京都生協
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コーポロ 2025年12月号 加賀れんこんの肉質はきめ細かく、可食部は雪のように真っ白です。一方、皮は茶色く、その見た目だけでも一般的なれんこんとの違いがはっきりとわかります。通称「サビ 」と呼ばれる皮の茶色は、鉄分を多く含む土壌で育つ過程で生まれる酸化鉄の色で、新鮮さの証拠です。「過去には、小売店に卸すために皮をわざと白くしようとする動きがありました。今はこのサビこそがおいしさの証として、胸を張ってそのまま出荷しています 」と、JA 金沢市の天野さん。 金沢の地質がれんこん栽培にぴったりとはいえ、より良いれんこんをつくるにはさらに長い年月をかけた「土づくり 」が必要。「日本一おいしさにこだわる部会になろう」を合言葉とする、加賀れんこん部会のメンバーで就農 10 年目の石寺さんは「もっとおいしいれんこんをつくりたくて試行錯誤していますが、まだまだ勉強中。畑の土を育てるにはあと20 年は必要かな 」と、誠実にれんこんづくりに向き合い続けています。 収穫にも倍の手間がかかるのが加賀れんこん。他の産地では収穫前に茎や葉を刈り取ることが多いのですが、加賀れんこん部会ではあえて葉を残すことで光合成を促し、可食部である根にでんぷんをしっかりと蓄積させます。そのまま重粘土質の土にぎゅっと圧力をかけ続けることで、特有の粘りが生まれるのですが、その分収穫作業は重労働に。腰まで泥に入りながら葉をかき分け、一本一本、手探りで掘り進めます。ポンプの水圧で泥から掘り出す作▲森のように生い茂るれんこんの葉を掻き分け、ポンプの水圧を使ってれんこんを一つひとつ掘り当てます重粘土質の土壌とつくり手の想いが生 み 出 す 独 自 の 味 わ いこの手間ひまの一つひとつが、れんこんを「加賀れんこん 」にする

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