点検レポート

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工場点検 京都生協コープ商品 砂丘らっきょう甘酢漬                       JA鳥取いなば 福部らっきょう加工センター

  • 2022年06月14日
  • 工場点検

点検日 2021年11月2日

京都生協コープ商品「砂丘らっきょう甘酢漬」を製造されているJA鳥取いなば「福部らっきょう加工センター」(以下、加工センター)は鳥取県鳥取市福部町にあり、隣接して「福部らっきょう選果場」(以下、選果場)があります。

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京都生協コープ商品「砂丘らっきょう甘酢漬」は1982年に誕生しました。鳥取砂丘産ならではの白く歯切れの良いらっきょうを、本漬けに純米酢を使って漬け込んでいます。
1982年に福部村農協(現在は合併してJA鳥取いなば)へ製造をお願いしてから、40年になるロングセラーです。

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近くには鳥取砂丘が広がっています。この地域で栽培される「砂丘らっきょう」は特産品となっており、2016年に地理的表示保護制度(GI)※による認証を受けています。(登録名称「鳥取砂丘らっきょう」「ふくべ砂丘らっきょう」)

※地理的表示保護制度(GI)・・・各地には伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの
                   条件により、その地域ならではの特徴ある産品があり
                   ます。産品と地域の名称を知的財産として登録し、
                   保護する制度です。


らっきょうは、7月下旬から9月にかけて植え付けられます。点検に伺った日は、ちょうど花が咲いていました。(開花時期10月下旬から11月上旬)

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収穫は、毎年5月下旬から6月中旬に行われ、らっきょう生産組合の生産者が根と葉の部分を切り、選果場へ出荷されます。これが「砂丘らっきょう甘酢漬」の原料となります。

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出荷前に栽培記録(どの様にらっきょうを栽培したのかわかるもの)が、きちんと提出され、「法律を遵守して農薬を使用しているか」など、JA鳥取いなばが確認されています。
選果場に入荷したらっきょうは、洗浄して皮を取り、サイズを選別し、不良品を除去します。

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次に加工原料はネットへ200kgずつ入れ、塩水の入った水槽で塩漬けします。塩分濃度と水温が基準通りに管理されていることを記録で確認しました。

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生のらっきょうは芽が出るのが早いので、選果場に受け入れた当日中に、塩漬けまで行うと説明がありました。塩漬けにすると芽が出ないそうです。

塩漬けしたらっきょうは、日々、製造計画に応じて隣接する加工センターで加工されます。



ここから加工センターでの作業です。

工場へ入場する際は、専用の服に着替えます。
健康状態と身だしなみについてチェック表へ記入し、問題がなければ粘着ローラーをかけ、手を洗い、ペーパータオルで水分を取り除いてからアルコール消毒します。
エアシャワー(服装にきれいな空気を当てて、表面に付いた塵を吹き飛ばす装置)を通り、殺菌水槽で長靴を消毒して入場します。チェック表を見て、記入状況に問題がないことを確認しました。

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別棟で塩漬けされたらっきょうを脱塩機に入れ、水と一緒に一定の時間撹拌し、下から空気を送って曝気※し、塩抜きします。同時に薄皮も取れるそうです。

※曝気・・・水と空気を接触させ、水に空気を溶かし込むこと。

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次に醸造酢に漬け込みます(中漬といいます)。漬け込み中の温度が基準内であることを記録で確認しました。

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中漬けが終わったら、洗浄して選別します。異物や傷んでいるものは取り除き、必要に応じてらっきょうを、メスを使って形を整えます。メスは紛失すると危険です。終業時、メスの数に問題がないことを毎日の記録で確認されていました。

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選別を受けて合格したらっきょうを脱水します。

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別の部屋で、純米酢や砂糖などを合わせて、本漬用の調味液を作ります。
まず1人の作業者が指示書に基づき、原材料を計量し、チェック表へ記入します。次に別の作業者もこの原材料を計量し、チェック表へ記入します。2人で数値に間違いがないことを確認し、原材料を投入します。
できた調味液は糖度などを測定し、官能検査で味などに問題がないことを確認します。

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脱水が終わったらっきょうと、本漬用の調味液は自動計量されます。これらを袋に詰め、封をし、賞味期限を印字します。
賞味期限の日付が正しいことを、作業指示書に記載された賞味期限と実際に袋に印字された袋の賞味期限を比較し、3人で確認します。最初と最後に印字した袋を記録用紙に貼り付けて残し※、後日問題がなかったことを確認できるようにされています。

※・・・最初と最後の袋に賞味期限が印字されていれば、印字機に故障がなかったと
    推測できます。

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包装が終わったら、お湯が入った水槽を通過させて加熱殺菌し、冷却します。水温は実際に温度計で測った数値と制御盤に表示されている温度の両方で確認されています。殺菌中の製品を、所要時間の半分の時点で拾い上げて芯温を計り、規定の温度に達しているか確認されています。
この製品の製造において、加熱工程はHACCP※の重要管理点となっています。
水温や製品の芯温、水槽内を通過する所要時間が、基準内であることを記録で確認しました。

※HACCP・・・食品衛生上の危害の発生を防止するため、特に重要な工程を管理する
         ための取組み。

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冷却が済んだらX線異物探知機に通し、硬い異物がないことを確認します。
X線異物探知機による検品も、HACCPの重要管理点となっています。

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次に拡大鏡を使って目視し、液漏れや異物混入がないか確認されています。
不合格品は合格品と区別するため、赤いテープを貼り、専用の箱に投入されます。

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合格品は保管され、記録をもとに製造上の問題がなかったことを確認してから出荷されます。
みなさんのお手元へ届くころには、らっきょうに程よく味がしみこんでいます。

現場を点検した後、製造記録、書類などの確認を行い、仕様書※通りに製造されていることを確認しました。

※仕様書・・・原材料や製造方法、賞味期限など、商品の設計図にあたるもの。


らっきょうの加工中に出た皮は、バイオ燃料としてリサイクルに出されています。

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【点検者の所見】
この加工センターは、鳥取県HACCP適合施設の認定を受けています。
新工場の稼働開始から約3年経過していますが、大きな汚れもなくきれいにされています。清掃しやすいように壁や天井をステンレスにされていることも大きいと思われます。清掃の実施状況や機械の保守点検などもしっかり記録され、従業員の服装や衛生管理に問題は見受けられませんでした。
原材料の限定事項である鳥取市福部町産のらっきょう、純米酢を使用した調味液が使用されていることを、在庫や記録・指示書などで確認しました。



【メーカーからのメッセージ】
京都生協の組合員様に愛されて40年、変わらず「原料(砂丘らっきょう)」と「製法」を守ってまいりました。これからも原点を失わず、安心、安全なCOOP砂丘らっきょう甘酢漬を製造してまいります。

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【メーカーよりおすすめの食べ方を教えていただきました。】
そのままで食べるのが一番ですが、刻んでいただき、タルタルソースの玉ねぎの代わりに「砂丘らっきょう甘酢漬」を使うと、らっきょうが苦手な方も、おいしく召し上がっていただけると思います。


【産地より写真が届きましたので紹介します。】
今回は「砂丘らっきょう甘酢漬」の点検レポートでしたが、毎年5月下旬から6月中旬にかけて、洗いらっきょうも出荷されています。

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