山科なす・加茂なす
商品ものがたり

山科なす・加茂なす山科なす・加茂なす

コープのお店の地場野菜コープのお店の地場野菜

コープのお店の地場野菜

●店舗のみ取り扱い
(戸田農園の野菜はコープ下鴨にて、渡邉農園の野菜はコープ醍醐石田・コープ山科新十条にて取り扱い)

地産地消コーナーで代々受け継ぐ本場のこだわりを地産地消コーナーで代々受け継ぐ本場のこだわりを

 鮮度抜群!コープのお店には、地元の生産者が丹精込めて育てた野菜がずらりと並ぶ地産地消コーナーがあります。「地元の新鮮な野菜が食べたい」という組合員の熱い要望を受け、2013年、コープさがのでスタートし、人気コーナーとなりました。現在、約170人の生産者が支える人気の売り場として全店で展開。最大の特徴は、生産者の手で袋詰めされ、価格が付けられ、売り場に並べられる地元の畑の直送品ということです。
 今回は京都の人が大好きな、なすに注目!京の伝統野菜やブランド京野菜にも認定されている「山科なす(京山科なす)」と「賀茂なす」の生産者を訪ねました。

山科なす

小ぶりで、やわらかく、みずみずしい

 京都市の東端、山科区一帯で古くから作られてきた「山科なす」。ぽってりとした卵形、果肉は緻密ちみつでやわらかく、みずみずしいのが特徴です。「味がよく、昭和の初めごろは主流の品種でした。しかし、果皮が薄くデリケートなため傷がつきやすく、肉質がやわらかいので日持ちがしない。育てやすく収穫量の多い品種に押され、栽培する農家が激減してしまったんです」。
 そう話す渡邉幸浩さんは、250年以上続く農家の後継者として19年前に就農。山科なすを育てるようになったのは、先輩農家から貴重な苗を譲り受けたのがきっかけでした。2、3年で先輩農家と同様の自家採種に成功。出荷用のものは、苗を接ぎ木して耐病性と収穫量を高め、露地栽培で果皮のやわらかな逸品に仕上げます。販路は、料理屋への卸や、昔ながらの振り売り、コープ醍醐石田やコープ山科新十条の地産地消コーナーなど。
 「なすを丸ごと炊いたり揚げたりといった、形を生かした料理にすると、味はもちろんのこと、とても見栄えがします。私は、焼きなすにするのが好き」と渡邉さん。
 「そもそも、粘土質で湿度のある山科の土壌に、山科なすは相性のよい作物。だからこそ、山科に残していかなアカンと思っています。栽培効率が悪く、手間暇がかかるため、栽培農家は10軒もありませんが、大切に種を守ってきた先輩農家の〝バトン〟を受け取ったからには、次に渡す人材も探していきたい。農業は受け継いでいく『文化』ですから」。
 渡邉さんの地元愛が育むのは、野菜にとどまりません。地元の若き生産者仲間とともに「山科伝統野菜研究会」を結成。「山科なす」、それから「山科とうがらし」の普及活動にも取り組んでいます。

※農家が得意先へ直接農産物を売る販売方法

加茂なす

〝女王〟は、まん丸、大型、濃厚

 大型でまん丸の「賀茂なす」。表面の光沢が美しく、とろりと滑るような舌ざわりと深い味わいが特徴です。起源は明らかではありませんが、明治初期ごろには京都市北区の上賀茂、西賀茂付近の特産品として栽培されるようになり、京料理には欠かせない食材として浸透していきました。20年以上前、上賀茂地区の生産者が集まって、賀茂なすを共同集荷する「上賀茂特産野菜研究会」が設立されました。上賀茂神社の境内で採取した賀茂なすの種を代々受け継ぎ、初物は神社に奉納しています。
 「自分の父親ほど年上の大先輩に誘われて入会したのが16年前。20歳で就農し5年目ごろのことでした」と話す戸田尚樹さん。妻の永理さんと一緒に先祖代々の専業農家を営んでいます。
 賀茂なすは、研究会が管理する苗を3月半ばに定植。5月初めから7月いっぱいが収穫期です。「1本に3枝、1枝で5個ぐらい収穫できるように枝や花を選定。色艶をよくするため陽を遮る葉は取り除き、暑い時期は毎日の水やりが重要。一つ一つへの目配りが欠かせず、手間がかかる割に収穫量は少ない。それに、他のなすと違って、賀茂なすには枝や葉に鋭いとげがあって世話をしているとブサッと刺さるので大変なんですよ」と笑う尚樹さんと永理さん。そんな中、特にこだわっているのは土づくりです。「おいしい賀茂なすを作るため、有機肥料のみを使用し、一般的な千両なすの3倍以上もの堆肥を混ぜ込んでいます」と尚樹さんは力強く語ります。
 また、「見た目はいまひとつでも、味に遜色ないもの」をコープのお店に並べたところ、またたく間に完売。現在も規格外の賀茂なすが採れた時は、コープ下鴨の地産地消コーナーに並びます。「果肉が濃厚で、コクと甘みがすごくあって、加熱しても煮崩れしない。唐揚げや天ぷらといった油ものは、わが家の人気メニューです」と永理さん。
 「上賀茂といえば賀茂なす。そう言われるくらいの存在になるのが目標です」とのことでした。
 山科なすと賀茂なす。それぞれ生産者の想いが詰まった旬の味覚をぜひご賞味ください。

季節を楽しむ
四季彩レシピ

冷やし賀茂なす

調理時間 約25分
【材料】(2~3人分)
  1. 賀茂なす 1個、
  2. むきえび 100g、
  3. 片栗粉 大さじ1/2、
  4. A=だし汁 2カップ、酒・うす口しょうゆ・みりん 各大さじ1、塩 小さじ1/3、
  5. 大葉のせん切り・みょうがの小口切り・生姜のすりおろし 各適量
【作り方】
  1. 1. 賀茂なすは皮をむいて縦に切れ目を入れ、4つ割りにする。
  2. 2. 鍋にAを煮立てて1を入れ、落し蓋をして弱火で約20分煮る。むきえびを加えて火を通し、水溶き片栗粉でとろみをつける。
  3. 3. 粗熱を取り、冷蔵庫で冷やす。
  4. 4. 器に盛り、薬味を添える。