5種具材の冷し茶わんむし
商品ものがたり


冷し茶わんむしをめぐる
波乱万丈の開発ドラマ
なめらかな口当たり、やさしい卵の味わいで人気の茶わんむし。近年、夏によく見られる「冷し茶わんむし」は、京都生協の女性バイヤーのアイデアから生まれました。
「夏に冷やして食べる茶わんむしをつくれませんか?存在感のある食卓の一品をつくりたいんです」。この依頼は、食品メーカーにとって衝撃的でした。開発がスタートした2000年代初頭、茶わんむしと言えば当然、温めて食べるものでした。冷し茶わんむしは市場の認知度がほぼない状態から、京都生協発の商品として第一歩を踏み出しました。その後、その目新しさとおいしさから次第に人気が出て、関西の他府県の生協でも取り扱われるまでに。ただ、当初はどの生協も半信半疑で、「玉子とうふがあるのに買ってもらえるのか?」との意見も多かったそう。しかし、「具材の食べ応えや食卓の“もう一品”需要で、組合員さんに支持してもらえるはず」と京都生協が強く推して、2004年に「冷し茶わんむし」がデビュー。だしのおいしさが多くの組合員の心をつかみ、関西圏で広く愛されていきました。
そんな折、2009年にメーカーが倒産し、冷し茶わんむしは製造中止に。しかし、復活を望む声は根強く、5年後の2014年、開発元メーカーから「有限会社 みやけ食品」に移籍していた中谷基次(なかたにもとつぐ)さんのところに、コープきんきから依頼が届きます。「あの冷し茶わんむしを復活させてほしい」と。そこから、「当時の味」を再現する試行錯誤が始まりました。
みやけ食品は「玉子とうふ」をはじめとする、鶏卵加工食品メーカー。卵の生産から容器の製造、製品の出荷・販売までを一貫して自社で行っています。もちろん、茶わんむしの製造も十八番(おはこ)。しかし、配合比や調味料など、当時の味の再現は難航します。
冷し茶わんむしの最大の魅力は、食べ進むにつれ口の中にじゅわ~っと広がっていく、深いだしの味わい。そして口の中の体温でほろりと崩れる口どけの良さ。「これまで当社の茶わんむしづくりは卵が主役でしたが、この商品では『だし』を主体に発想転換。だし感強めの茶わんむしに仕上げ、当時の味を再現しました」と、中谷さんは話します。何度も何度も配合を変え試作を重ねること数カ月、ついに旧商品の味わいを引き継いだ「
5種具材の冷し茶わんむし」が完成。じわじわと支持を伸ばし、現在は4個パックのタイプが全国の生協で取り扱われるまでに。京都発の冷し茶わんむしが「だし文化」を通じて関西へ広がり、全国区で市民権を得ることになりました。


食べ応えのある大きめの具材。人の手で一つずつ、丁寧に入れていきます
冷たさの裏側にある熱い想い
みやけ食品では、国内の直営農場・契約農場から届く新鮮な卵を一つひとつ割卵して、茶わんむしに使用しています。「加工製品の"液卵"なら手頃で扱いやすいのですが、加熱殺菌後に入荷されるので卵の風味が落ちてしまう。この冷し茶わんむしにはその日の朝に割った卵を使います。新鮮さに勝るものはないです」と工場長の中西清一(なかにしきよかず)さん。
こだわりのだしの原料は、利尻産昆布エキスと焼津産かつおだし。すっきりとした味わいが特徴です。たけのこなど食べ応えのある具材は「サイズがまちまちで機械での投入は不向き。人の手で一つひとつ丁寧に入れています」と中谷さん。
2024年の能登半島地震で、みやけ食品は大きな被害を受けました。しかし、冷し茶わんむしを製造する「のと国分寺工場」は新築・平屋建てのため被害を免れ、断水に苦しむ近隣住民に製造用の地下水を開放し、避難所へ食料として商品在庫を届けました。後に「地震のときお世話になったから」と10人もの方が就職を希望され、今も冷し茶わんむしの製造に携わっています。驚きと熱い想いが詰まった冷し茶わんむしを、開発秘話とともにゆっくり味わってみてください。


具材を入れた容器に、調味した卵液を機械で充てんしていきます







杏仁豆腐の素 1袋(70g)
- ピンクグレープフルーツ・グリーンキウイ 各1個
- パイナップル缶・みかん缶 各50g
- ブルーベリー 10g
- 牛乳 100ml
- A=アガー 8g、グラニュー糖 35g
スコップ杏仁豆腐
調理時間:約15分 ※冷やし固める時間は除く
全量:カロリー 721kcal 塩分 0.4g
(15×17×6cmの耐熱容器1台分)
- 1. ボウルに杏仁豆腐の素と熱湯350mlを入れ、よくかき混ぜて溶かす。牛乳を加えて混ぜ合わせる。
- 2. 器に1を流し入れ、冷蔵庫で冷やし固める。
- 3. グレープフルーツは薄皮をむいて果肉を取り出す。キウイは半月切りにする。パイナップル缶、みかん缶は汁気をきり、パイナップルは食べやすく切る。
- 4. Aをよく混ぜ合わせる。鍋に水250mlを入れ、Aを少しずつ加えて混ぜる。かき混ぜながら弱火にかけ、沸騰したら1〜2分煮溶かす。火を止めて粗熱を取る。
- 5. 2の上に3、ブルーベリーを彩りよくのせる。4を流し入れ、冷蔵庫で冷やし固める。