富有柿


組合員とつくり手をつなぐ
“援農”の輪に農業の未来を託して
秋の味覚を代表する果物の一つと言えば、古くから日本で愛され続けている柿。実は1,000種以上があると言われており、大きく甘柿と渋柿の2種類に分類されます。なかでも富有柿は、“柿の王様”と称される甘柿の代表格。大きく艶やかな果実は甘みが強くジューシーで、贈答用としても重宝されています。そんな富有柿の一大産地として知られる奈良県五條市は、市町村単位での柿の生産量日本一。朝晩の寒暖差と適度な雨、水はけの良い土壌が柿の栽培に適した中山間地域です。
「私たちは生協とともに成長してきました」と振り返るのは、五條市で特産品の柿や梅を生産する株式会社 美吉野農園の和田尚久さん。美吉野農園と京都生協とのお付き合いは25年以上。設立当初は創業者・王隠堂 誠海(おういんどう まさみ)さんを含む3人の生産者からはじまりましたが、京都生協を含む各地域の生協と取引を広げ、組合員の需要に応える中で、現在では柿の生産者だけでも約80人が所属する規模にまで成長。栽培だけでなく加工や販売までを一貫して行うようになりました。
「京都生協は“つくり手の想いを組合員さんにいかに届けるか”ということを、ずっと一緒に考えてくれています。すごく産地想いなんですよ」と笑顔を見せる、和田さん。その言葉通り、美吉野農園では京都生協職員が産地や商品について学び、生産者との交流を通して信頼関係を築いていく「産直交流」を大切にしてきました。「産地について知った上で食べてもらう。これって、消費者が生産に参加することにつながると思うんです」と、和田さん。京都生協での供給を通して、幅広い組合員が生産に参加する“援農”の輪が広がることで、これからの農業に大きな可能性を感じられています。


美吉野農園の創業者・王隠堂 誠海さん。1970年代後半から有機農業と産直事業をスタートさせたレジェンド的存在
産地を知って味わってこそ
実感する濃厚な富有柿の魅力
虫や病気に強い渋柿に比べ、甘い富有柿を育てるのは苦労の連続。11月上旬から12月中旬の収穫まで、年間を通して休みなく柿畑の手入れが必要です。特に4月末から5月末にかけて毎日行われる「摘蕾(てきらい)」は、一年で最も力を入れるタイミング。1つの枝に蕾を1つだけ残し、あとは取り除くことで栄養たっぷりの柿を育てます。さらに美吉野農園では、設立当初から農薬をできる限り使わないことを理念として掲げているため、より細かな配慮が求められます。工夫を凝らし、病気や害虫被害を見極めることで、国が基準とする農薬量を平均して2割削減。虫がつきやすい甘柿と根気強く向き合った健闘の成果です。
「温暖化の影響もあり、段々とつくりづらくなっていますが、1年に1作の想いをこめてわが子を育てるように柿と対話して頑張っています」と話す和田さん。美吉野農園では、生産するすべての柿を大切に、あんぽ柿などの加工品の開発・販売を自社で行うことで、無駄なく消費者に届けることができています。「すべてを出荷し、すべてを食べてもらいたい」という美吉野農園の想いには、農業への誇りと、つくる人と食べる人へのやさしさが詰まっています。近年ではレストランやグランピング施設の運営も行い、農業への理解を深める活動も。和田さんは「ただ届けるだけが“産直”ではありません。価値を実感して手に取っていただければ」と想いを熱く語ります。知らずに食べるのと、知って食べるのでは大違い。産地の物語を知った分だけ濃厚になる、富有柿の味わいをお楽しみください。


太陽の光を浴びて輝きを増す
富有柿。収穫直前まで、大地の恵みをたっぷりと果実に蓄えます



- 柿 1個
- クリームチーズ 60g
- 生ハム 8枚(40g)
- 粗びき黒こしょう・オリーブ油 各適量
柿クリームチーズの生ハム巻き
調理時間:約5分
1人分:カロリー255kcal 塩分0.8g
(2人分)
- 1. 柿はヘタを取って皮をむき、8等分のくし形切りにする。クリームチーズは8等分にする。
- 2. 柿とクリームチーズを生ハムでくるっと巻く。同様にして合計8個つくる。
- 3. 器に盛って粗びき黒こしょうをふり、オリーブ油を回しかける。








