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工場点検 京都生協コープ商品 玄米黒酢 ミヅホ㈱

  • 2021年01月28日
  • 商品

点検日 2020年8月4日

京都生協コープ商品「玄米黒酢」を製造していただいているミヅホ㈱は、奈良県橿原市にあります。南には万葉集で知られる耳成山、畝傍山、香久山の大和三山があり、東にはお酒の神様として祭られている三輪山があります。

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国産の玄米を原料に、吉野杉大樽の中で時間をかけてじっくりと発酵熟成させた玄米酢です。くせがなく芳醇な醸造酢です。開発から約35年のロングセラーです。

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玄米を保管する倉庫を点検しました。仕込みの直前に国産の玄米を仕入れて、一時的に保管されているとのことです。点検の近日に仕込み作業がなかったため、玄米の実物はありませんでしたが、伝票で仕入れている玄米が国産であることを確認しました。

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製造現場の紹介です。
玄米黒酢の原料となる玄米酒は、「三段仕込み」という日本酒と同じ技術で作られます。
玄米酒の製造ですが、蒸した玄米に麹菌を付け、玄米のデンプンを糖に変化させます。そして、この糖を酵母菌に食べさせることで玄米酒ができあがります。(4~5週間かかります。)温度管理や、発酵の具合を見て櫂を入れる(かき混ぜる)など、手間もかかります。

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でき上がった玄米酒と玄米酒粕、種酢(殺菌する前の玄米黒酢から採取したもの)を吉野杉の大樽に入れます。容積は三十石で、なんと5400リットルもあります。
大樽と種酢に存在している酢酸菌の力で、玄米酒が玄米黒酢になります。さらに別の大樽に移し、熟成させます。
玄米酒を大樽に入れてから、玄米黒酢が仕上がるまで3ヶ月以上かかります。樽の木目を通じて水分やアルコールが蒸発するために、量が徐々に減ってしまいますが、味・香りのまろやかなお酢になります。

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玄米酒とお酢造りは築100年ほどの建物と蔵で行われていますが、蔵や樽に住み着いた酢酸菌がいるので、清掃に洗剤は使えず、水で余分な汚れを取って、清掃されているそうです。

お酢が仕上がったら、ろ過し、仕込みに使っている水で酸度を調整されています。
(工場点検の時、規定の酸度に希釈されていることを記録で確認しました。)

これ以上発酵が進まないように殺菌します。

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殺菌後、瓶に詰めてラベルを貼ります。ラベルの賞味期限は、2人で確認されています。
賞味期限の印字に間違いがなかったことを、後日確認できるように、余分に印字したラベルを残しておられます。

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【点検者の所見】
原材料(国産)や製造工程など、仕様書の通り適正に運用・管理されていることを、現場や記録で確認しました。蔵や木樽に常在する酢酸菌を利用し、昔ながらの静置発酵でじっくり発酵させることで独特の風味になります。長い歴史のある商品で、今も開発当初のままの製法で製造されており、その思いを大切にされていることを強く感じました。

【メーカーからのメッセージ】
お酢は、お酒に酢酸菌がはたらいてできることから、「お酒を外から仕入れてくるのではなく社内で造れば、もっとよいお酢ができるのではないか。」と奈良市民生協(現在のならコープ)から提案があり、1977年、三段仕込みによる自社製の日本酒※をもとに純米酢を造るようになりました。その後、京都生協向けの純米酢も製造することになりました。
同じ技術で玄米酒を造ることで、1985年に京都生協向けの玄米黒酢が登場しました。
お酢造りは吉野杉大樽の中でゆっくり発酵させる方法を40年以上続けています。
今、振り返りますと、日本酒造りから一貫して酢を造ることは、当社にとって貴重な製法となりました。

※当時、日本酒造りの技術をもっておられなかったので、奈良工業試験場(現在の奈良県産業振興総合センター)や地元の造り酒屋の指導を受けて、実現されました。



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