平和への想いをつないでいくために 私たちの戦争・被曝体験談平和への想いをつないでいくために 私たちの戦争・被曝体験談

2枚の写真と母の想い京都府京都市山科区 和地純子さん

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原 本

私には大切な写真が2枚あります。1枚は6人兄姉の末っ子で、現在83歳の私が7歳の時、30人ほどの親族に送られて入隊する長兄。学校全体で2位になったと悔しいと泣いて帰ってきた賢い子でした。兄は大学生で、幼い私は死の不安も考えずに送り出しました。「間違った教育に染まっていた」と泣いた母。この写真は18年12月10日に撮ったものです。

もう1枚は、その長兄の写真を前に、出征していく父。親族もなく、6人兄姉が5人と、祖父と心配顔の母との、8人だけの写真。この時、20年3月28日。自分の大切な大切な子が、戦死するとはゆめゆめ思わなかったろう母の心。今、私は、母の亡くなった83歳を迎え、苦しいほど無念だったろうと、母の心を思います。
長兄死を知った後、未だ5人の子どもの父である夫を、また戦地へ送る母の不安。この2枚の写真を見ると、文句なく泣けてきます。

「世の中に絶対と言い切れることはない」と教わってきましたが、戦争だけは絶対にしてはならない。戦争に続く教育はしてはならないと、ずーっと思い続けています。