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【教えて!森田さん 食の安全・安心】遺伝子組換え表示が変わる

  • 2023年02月22日
  • とりくみ・活動

【今月のテーマ】遺伝子組換え表示が変わる

豆腐や納豆などに書かれた「遺伝子組換えでない」という表示が、「分別生産流通管理済み」などに変わります。表示をめぐる新しい動きをご紹介します。

複雑な遺伝子組換え表示制度
遺伝子組換え技術は、ある生物がもつ遺伝子の一部を他の生物に組み込むことで、新しい性質を持たせる技術です。食品分野では1996 年より、大豆などの商業栽培が始まりました。遺伝子組換え食品の安全性については、食品、飼料、環境分野でそれぞれ審査が行われ、2001年に表示制度がスタートしました。

表示の対象は9 作物33 加工食品群。加工食品は、遺伝子組換えによって組み込まれた遺伝子そのものや、その遺伝子によって作られるタンパク質が残るものは、義務表示です。大豆であれば豆腐、納豆、みそなど、とうもろこしはコーンスナック菓子、とうもろこし缶詰などです。一方、食用油、しょうゆ、異性化糖などは、製造工程の加熱などで遺伝子やタンパク質が分解されるため、科学的検査ができず、表示は義務づけられていません。

表示方法も複雑です。
・ 原材料に遺伝子組換え作物を用いている場合は「遺伝子組換え」
・ 遺伝子組換え作物と非組換え作物を生産・流通過程で分けて管理(分別生産流通管理)していない場合は、「遺伝子組換え不分別」との表示が義務づけられています。
2023_03_copolo_anzen_anshin.jpg私たちがよく見かける「遺伝子組換えでない」表示は義務表示ではなく、分別生産流通管理で分けられた非組換え原料を用いたものです。日本に輸入される遺伝子組換え農作物の多くは、飼料や油など義務表示がないものに用いられ、義務表示対象品は非組換え原料が用いられることがほとんどです。

新制度で「遺伝子組換えでない」を厳格化
この制度について、消費者庁は2017 年度に検討会を開催して、「遺伝子組換えでない」表示の条件を厳しくすることにしました。これまで「遺伝子組換えでない」表示の条件として、分別生産流通管理過程で意図せずに混ざってしまう混入率を「5%以下」としていたのを、「不検出」でないといけないとする基準改正を2019 年に行い、2023年4 月に完全施行としました。これを受けて、これまでの「遺伝子組換えでない」の表示の多くが、「分別生産流通管理済み」や、一括表示枠外の「遺伝子組換え原料と分けています」などに変わります。

なお、新制度では検査方法が厳しく、国産大豆が原料でも工場や倉庫で少しでも混入の可能性があれば、「大豆(国産、分別生産流通管理済み)」と表示されることもあります。一方、混ざらないように管理されれば、これまでどおり「遺伝子組換えでない」表示も可能です。

制度が変わって表示方法が変わっても、使われている原料に変わりはありません。遺伝子組換え食品の安全性は、食品安全委員会が審査を行っており、表示制度の改正と合わせて啓発が必要だと思います。

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執筆者PROFILE

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教えて!森田さん 食の安全・安心」は機関紙コーポロに毎月掲載しています。




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