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【食の安全・安心】持続可能な農業のために みどりの食料システム戦略

  • 2024年03月13日
  • お知らせ

【今月のテーマ】持続可能な農業のために みどりの食料システム戦略

 「みどりの食料システム戦略」という言葉を聞いたことがありますか?日本の農業の将来の姿として、環境に配慮し生産力を上げて持続可能性の向上を目指すもので、農林水産省が2021 年に方針を定めました。どのような内容か、ご紹介しましょう。

温室効果ガス低減がテーマに
 
現在、世界中で気候変動の影響が深刻ですが、主な原因とされるのが化石燃料などによる温室効果ガスです。その削減が世界のテーマとなり、日本の農林水産業においても化石燃料の使用削減、化石燃料由来の肥料の使用を削減するなどの対応が求め
られています。
 農林水産省は「みどりの食料システム戦略」の中で、多岐にわたって目標を定めています。このうち農業分野では、2050年までの目指す姿として
・農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現
・化学農薬の使用量をリスク換算で50%低減
・化学肥料の使用量を30%低減
・ 耕地面積に占める有機農業の取り組み面積の割合を25%、100万haに拡大
などの数値目標を掲げています。
 温室効果ガス削減の取り組みの一例には、水田の水を一時的に抜く「中干し」の期間を長くすることで、メタンを生成する菌の活動を抑制するものなどがあります。また、化学農薬や化学肥料を減らしたり、温室など施設栽培の暖房利用を減らしたりすることも、環境負荷軽減につながります。
 生産者への周知も少しずつ始まっており、全国で温室効果ガス削減「見える化」実証事業なども行われています。栽培情報によってどのくらい温室効果ガスを削減できるかを計算し、削減率によって星の数で分かりやすく表示する試みです(図)。削減率が高いほど星の数は増え、星の数1 つは削減率5%以上、2 つは10%以上、3つは20%以上を示します(令和5年度の場合)。これをラベルにして、対象品目である米、トマト、きゅうりなどに貼り、店頭で消費者に分かりやすく伝えることで、環境に配慮した農業の重要性も伝えていこうとしています。

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有機農業の拡大を目指す
 さらに、有機農業の取り組み面積の拡大もあげられています。日本では諸外国に比べて有機農業の取り組み面積の割合が低く、2009 年には全国で1.6万ha 程度でした。高温多湿の日本では、化学的に合成された肥料や農薬を使用しない栽培は難しく、流通量が少ないため、消費者もなかなか購入しづらい状況がありました。とはいえ、2017 年には約2.4万haまで増えており、2030 年に63 万ha にするのが第1 弾の目標です。2030 年以降はテクノロジーを用いて、除草ロボットや有機農業に適した品種開発などを進め、2050 年に100 万haまで拡大することを目指しています。国の研究機関も、持続可能な農業に向けて舵を切っています。
 私たちのくらしにおいても、これからは環境にいかに配慮した商品であるかが、選択の1 つの目安になっていくでしょう。食品ロス削減も含めて、消費者の理解と協力が必要となっています。

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食の安全・安心」は機関紙コーポロに毎月掲載しています。

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