トピックス

【食の安全・安心】栄養表示をわかりやすく前面に ― 日本版包装前面栄養表示

  • 2025年10月30日
  • お知らせ

【今月のテーマ】栄養表示をわかりやすく前面に ― 日本版包装前面栄養表示

海外で食品のパッケージを見ると、おもて面に目立つように熱量(カロリー)などの栄養情報を書いてある製品を見かけます。これらは「包装前面栄養表示」(FOPNL:Front-of-Pack Nutrition Labelling)と呼ばれるもので、消費者庁が今年7月に日本版FOPNLのデザイン案を公表しました。どのようなものか、みていきましょう。

栄養成分表示が活用されていない
 加工食品の容器包装には、原則として栄養成分表示が義務付けられています。裏面などに、1食当たりや100gあたりの、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量がまとめて表示してあり、弁当などのラベルにも小さな文字で書かれています。
 栄養成分表示は2015年に食品表示法が施行されたときに義務化が決まり、今では駅弁やお土産などにもすべて表示されるようになりました。消費者にとっては有用な情報で、表示によってかくれ食塩などに気づきます。
 一方、消費者庁のアンケート調査によると、現在の栄養成分表示を商品選択のために参考にしている人は半数以下の47%程度にすぎません。多くの人が参考にしておらず、表示されていることを知らない人もいます。
 そこで、裏面とは別におもて面にも目立つように表示する方法について、消費者庁は2023年から日本版FOPNLの検討を行ってきました。国際的に見ても、国が統一したFOPNLを作る活動が活発になっており、世界保健機関(WHO)でもガイドラインを公表して、取り組みを促してきた経緯もあります。

塩分とりすぎを気づかうデザイン案を採用
 消費者庁の3年にわたる検討の結果、日本版FOPNLの様式は、上段には1食当たりの熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の量、下段には栄養素等表示基準値(日本人の平均的な摂取目安に対する割合)の案が示されました。(図)日本人は食塩のとり過ぎが国民的な課題になっているため、食塩相当量は二重で囲んで目立たせるデザイン案としています。
 特に下段ではこの食品で1日分の栄養成分がおよそどのくらいとれるのか、割合を知ることができます。たとえば納豆であれば、1パックでたんぱく質が1日分の10%とれることが一目でわかります。消費者庁は国民の意見募集などを経て、11月以降にガイドラインとして公表することになっています。
 なお、日本版FOPNLは義務ではなく任意表示です。どのくらい普及するのかはわからず、食品によって異なるかもしれません。
 私たちはこれまでどおり、裏面の栄養成分表示をきちんと確認することが大切です。

copolo11.jpg
出典:日本版包装前面栄養成分表示に関する検討会
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/review_meeting_013/
上記の図は、下記を参考に作成
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_250728_15.pdf

2023_04_copolo_anzen_anshin_prof.jpg

社会的テーマから身近なテーマまで「食」の安全に関する情報を専門家が解説
食の安全・安心」は機関紙コーポロに毎月掲載しています。

バックナンバー