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【食の安全・安心】白い食べ物は体に悪いの?

  • 2024年10月29日
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【今月のテーマ】白い食べ物は体に悪いの?

 「白砂糖など、白い食べ物は体に悪い」と聞いたことがあるかもしれません。昭和の時代から続く話ですが、結論から言えば明確な根拠はありません。いくつかを例に考えてみましょう。

白い砂糖と茶色い砂糖
 砂糖はサトウキビや甜菜(てんさい)を原料とし、原料から糖蜜を分離し、結晶化します。上白糖やグラニュー糖の白い色は、結晶化によって無色透明になって光を反射して白く見えるのです。一方、三温糖は上白糖やグラニュー糖を取り出した後の糖蜜をさらに煮詰めてつくるもので、煮詰める過程で加熱するため、茶色いカラメルの色がつきます。さらにカラメル色素を加えて色を調整することもあります。白い砂糖は、三温糖を漂白していると勘違いされた話を聞くこともありますが、そうではありません。
 また、黒糖などは製法が異なり、原料から糖蜜を分けずに、サトウキビの搾り汁をそのまま煮詰めてつくります。このためミネラル類は精製されずに残ります。
 他にも製法によってさまざまな種類の糖があり、風味も異なりますが、実はミネラルの含有量の差はごくわずかです。健康のためのミネラルを期待するのであれば、野菜や肉などから摂取した方がよほど体に良いと言えます。

精製塩とそれ以外の塩
 精製塩とそれ以外の塩( 天然塩など)も、よく比較されます。精製塩は、イオン膜法という製法で濃い塩水をつくって煮詰め、塩の結晶をつくる製法できれいな白色の塩ができます。一方、天然塩はさまざまな製法があります。海水などから天日や窯炊きなどで水分を蒸発させてつくる製法では、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルを含んだ塩ができます。他にも、天日塩を海水に溶かして煮詰めたり、にがりを添加するなどの製法の塩もあり、精製塩よりもミネラルを含みます。「おいしさが違う」という方もいます。
 とはいえ、塩から摂取するミネラルの量はごくわずかで、健康のためのミネラルを期待できるほどではありません

白米と玄米
 白米は玄米から胚芽、ぬか層などを取り除いたもので、その分白くなります。玄米には胚芽も残っており、栄養価で見るとビタミンやミネラルの一部や食物繊維が多く含まれます。血糖値のコントロールが必要な方にとっては、玄米の方が血糖値は急激に上がらないため、病院などで勧められることもあるでしょう。玄米はよくかんで食べるために早食いにならず、ダイエットをしている方にも人気です。最近は食べやすく加工した加工玄米も販売されています。
 栄養面からは玄米が健康に良いと思われがちですが、消化の良さでは白米の方が優れています。白米は消化吸収が良く、高齢者や子ども、胃腸の調子が良くない方にも適していると言えます。白米、玄米のどちらを選ぶかは、その人の体質やその時々の体調によっても異なります。

 以上、それぞれ比較してみましたが、いずれも白い食べ物だからといって体に悪いというほどの明確な根拠は乏しそうです。それぞれの食品の風味などに合わせて選び、おいしく食べることが、心身の健康につながるのではないでしょうか。

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